調査会社の会長ブログ【松谷廣信】

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探偵のぼやき2020/02/12

バックグランドチェック、履歴調査、経歴調査

 就職の際の採用調査の中で大きな比重を占めるのが、応募者が提出した履歴書及び職務経歴書が正しいか否か、いわゆる申告履歴の確認である。

 ところがウェブサイトをのぞいていると、「経歴調査はゆるされるか否か?」などの見出しで色々と書かれ討議されている。その中で、「個人情報保護法では云々・・」などと、もっともらしいことがもっともらしく述べられている。

 ところが私が疑問に思うのは、採用調査の中で行う経歴調査は、経歴を新たに調べるのでは無く、「私の履歴はこの通りです」と自ら申告したものを、それが正しいか否か確認する作業であり、所謂個人情報と言われる、氏名、住所、生年月日、学歴、職歴などは全て把握した上でのことである。にも拘わらず、個人情報保護法が云々と論議されている。

 本人が、「この通りです」と申告したものを、確認する作業までが法律で規制されているとすると、何が本当なのか何が正しいのか、個人の事に関しては全く分からない事になってしまう。

 そういう意味では、戸籍法にしても住民基本台帳法にしても似たようなところがあり、人の身分関係を証明するものが戸籍であり、現住所を証明するのが住民票であるが、これも本人及び親族(近しい)以外は現実には入手が困難であり、本人が云う事を信じるしかないことになっている。戸籍も住民票も公開の原則は崩してなく、第三者でも利害関係があり、その必要性が認められれば入手出来るとはなっているが、現実には運用面で相当難しい状況にある。

 既婚者が独身を装って交際しても、既婚者であるか否かの確認は難しく、経歴を偽証して就職応募しても、経歴確認が難しく、基本的には個人の事は本人がいう事を信ずるしか方法が無いというのが、日本社会の現実であり、そのことに疑問さえ抱かず、自分さえよければそれで良しとするのが現在である。尚、それを保護するのが個人情報保護法であり、戸籍法であり、住民基本台帳法であるといっても過言では無さそうであるが、本当は法律がおかしいというのではなく、国民の理解と運用が、自己保身の利己的社会に後押しされて、大勢を占めているようである。

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探偵のぼやき2019/11/28

経歴詐称と詐欺師

 「嘘は泥棒のはじまり」などと子供の頃に言われた記憶があるが、それと同様、「経歴詐称は詐欺師のはじまり」と言える。詐欺師で自分の経歴をごまかしていない人は一人もいない。100%詐称している。

 可なり前にもこのブログで、「詐欺師を見つけるのは、その人が自称する経歴をきちっと調べればだいたい分かる」と書いた記憶があるが、その経歴の特徴は、学歴は悪くても早稲田、慶応卒以上のハイレベルな大学か院卒。職歴は多いのが商社系か公益法人または行政機関、それも大概が特別職で1・2年で転々としている。またコンサルタントの歴も多い。

 こんな履歴書が届いた場合は先ず??。

 実は先ほど何時ものようにレポートの点検をしていたら、詐欺師の典型と思えるレポートに出会った。ただ驚いたのは、今日の詐欺師は履歴書の名前すら嘘、偽名で就職応募していた。学歴も職歴も嘘で、名前すら嘘をついているのに、どうしてそれが分ったの?という事になるが、それはそれ、わが社の調査員にかかれば・・・ということ。

 実はこのレポートを見ていて思うのが、個人情報保護と匿名社会の到来。数年前に役所は住民票も戸籍も原則公開(法的)にも関わらず非公開(運用)にしてしまった。従って、一般人は一般人が公開する個人情報は信じるしかない。検証することが殆ど不可能に近くなっているから。

 警察など役所は権限で大体のことを検証することができるが、一般の人は個人情報保護、プライバシー、人権擁護の壁に閉ざされ、人の事に関しては何が本当か何が嘘か検証することが出来なくなっている。そんな社会を国民皆で形成している。

 故に詐欺師は詐欺のしたいほうだい。今日の被調査人(調査対象者)のごときは、妻も子供もいながら、エグジェクティブな女性をターゲットに金銭詐欺を繰り返している御仁であったが、履歴書を信じれば、素晴らしく有能な御仁に思える人である。

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探偵のぼやき2019/05/30

経歴詐称

 毎週一回はブログを更新しようと思っている。ところが最近は気が付くと早や2週間何もしていない、なんてことがザラにある。

今回もそう。ところが直ぐに話題が浮かばない。そこで昔はどんな事を書いていたのか?と10年ほど前のブログを覗くと、たまたま興味深い記事(2007年6月のブログ)が出てきた。

これは再度読んで頂けたら、特に行政官になどと思い、下記に添付することにした。

学歴詐称。

大阪市は、職員965名を学歴詐称で停職1カ月の処分にしたという
関市長は市民に申し訳ないと陳謝しながら、「こんなに学歴詐称が多くあったなんて・・
と驚きを隠さない。今頃何を言っているのですか・・、と言いたい。

ここで一寸考えて頂きたい。本来採用されるべきでない人、所謂、採用条件にみたない人が虚偽の申告(履歴詐称)
をして採用された訳である。と云うことは、同じ数だけ、本来採用されてしかるべき人が、虚偽申告の人の為に不採用となった訳である。

学歴を詐称していたと云うことは当然職歴も詐称しているはず。そうしないと履歴の辻褄が合わなくなるから。と云うことは、面接時の応答も、其れ相応につくり話をしないと上手くいかない。嘘を嘘で塗り固めて採用され、正直者は不採用になったと言う訳。

国も府も市も、従来から採用時の調査には極めて否定的である。「採用調査は差別につながるおそれがあるから」と云うのがその理由である。その結果が、今回明るみになった大阪市の大量学歴詐称問題である。採用調査は差別につながる云々で、結果的に大阪市は大変な差別採用をしていたのである。不採用になった人にこの事をどう説明するつもりであろうか・・・。

以前、大阪府と市が主体となって、「公正採用調査システム検討会議」と云うのが約1年かけて行われた。その会議の委員として、当時業界を代表して私も出席させてもらった。委員のメンバーは、有識者と言われる大学教授や弁護士の外、行政、経済団体、人権団体、労働組合の代表者など10数名であった。
検討会議は、その直前に起きた差別調査事件を受けて設けられたものであり、調査業界にとっては極めて厳しい状況にあった。

そんな中で私が必死になって主張したのは、この事であった。少なくとも「公正採用」をさけぶのであれば、応募者の履歴や職務経歴書が正しいか否かを調べ、正しい履歴や職務経歴に基づいて判断しなければ公正さを欠く」と。虚偽の履歴がまかり通るのはおかしい、と声を大にして主張した。ところが、えらい先生方には中々理解して貰えなかった。

調査することによって人権、プライバシーが侵されることは確かにあると思うが、調査しなかった為に人権、プライバシーが侵されることもある。「公正採用の為には調査は必要不可欠なものである」と思うが如何でしょうか。

965名の学歴詐称職員はそれでも1か月の停職でこれからも勤める事ができる。しかし、採用されなかった者は一日たりとて勤める事は出来ない。
正しい履歴に基づいて公正な判断がなされていれば採用されていたかもしれない多くの応募者のことを思うとき、怒りを覚えずにはいられない。

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探偵のぼやき2017/12/28

個人の「社会信用度」 評価

私は、「文藝春秋」の愛読者で、早や読み始めて半世紀を越えてしまった。ただ、若い頃は結構興味深く、発売日が楽しみであったが、何故か近年はそうでもない。歳とともに徐々に好奇心が薄れ、感性も鈍り、興味深く本を読むことが劣ってきた為かもしれない。ただ今月号(2018年1月号)は久しぶりに興味深く読ませていただいた。中でも、「新世界地政学」(船橋洋一)欄に、“エッそうなんだ”と、軽いカルチャーショックを覚えた。

(その記事の抜粋)

「中国では、個人の『社会信用度』を評価するビジネスが急成長している。レンタル自転車の返却時間に間に会わなかったり、コンピュータゲームにはまったり、ポルノを見たり、飲酒運転をしたり、借金を踏み倒したりすると、社会信用度が減点と成る。全体として評価が低いと、自転車のレンタル契約が拒否され、海外旅行の許可が降りなくなり、就職や転職、さらには結婚にもマイナスになる。アリババ系(中国のトップ企業)の芝麻信用はじめ数社がこの分野に進出している。学歴、職歴、マイカー・住宅・資産の保有状況、過去の支払い履行実績、消費行動などの領域で信用を点数化、信用度を350~950点の範囲で格付けし、本人にも公開する。そこでの信用度が上がるとプラスになるため、積極的にこれらの領域の情報を入力する人が既に数億人に達しているという。中国共産党もこれを奨励している。信用の“見える化”をテコに品行方正な人民をつくり、体制安定に役立てたいからである。・・・・」との記事。

皆さんはこの記事を見てどう感じるでしょうか?。私は正直驚いた。余りにもの日本との違いに!。

日本の現状を敢えて記す事も無いと思うが、何でもかんでも個人情報。個人情報は第三者には漏らしてはダメ、プライバシーは勿論のこと、氏名、住所、経歴は勿論、本人が提出した履歴の確認さえままならない。それ故、求職者のこと、結婚相手のこと、取引相手のこと等々、知りたいことの全てがシャットアウトされ、“見える化”などはもっての他。そうした現状を承知してか、経歴詐称は蔓延し、詐欺も横行(詐欺師は、自分の経歴を誤魔化す事から始める)。マスコミで騒がれない以上、大体のことは隠し通せる社会が構築されつつある。それゆえか、自分の行いに責任を持たず、過去は全て隠せるものと思う面々が横行している。

情けないの一語である、が、今の日本は「個人情報保護」一色で、何のための保護かは考えもせず、個人情報は漏らしては成らないの一点張りで、利己主義が横行してしまっている。

江戸時代の五人組制度を是認するわけではないが、ある程度の「見える化」は必要で、世間体なども自己陶冶の一助になると考えるのは私だけでは無かろう・・。ただ、本音を言えば、唇寒しで、人権、プライバシー、個人情報を口にすれば、時代の先端を行く文化人と思われているようである。

時代に逆らう様ではあるが、調査業界に身をおくものが痛切に感じる、社会への提言である。

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探偵のぼやき2017/12/07

個人情報保護と履歴書詐称

先般こんな新聞記事が目に入った。

親元に、22歳の息子が勤める会社から電話が入ったという。内容は、「息子さんが何の連絡も無く数日出社していない。宿舎(社員寮)に行ってみたが姿が見当たらない。何かご存知ありませんか・・」とのことであったらしい。

ビックリした父親は宿舎(東京)に向かい、その足で警察に相談。その他、銀行やクレジット会社など、あちこち足跡を求めて尋ねまわったと云う。ところが、警察では殆ど相手にされず、銀行やクレジット会社など、訪ねた先の全てが、個人情報を理由に全く対応して貰えなかったとのこと。

親が息子のことを心配し、その消息を尋ねまわるのは当然のこと。ところが、個人情報保護の観点から、役所も企業も個人情報保護を盾に、「それは個人情報ですからお応えできません」というのが、極々当たり前な対応となっている。

これで本当に良いのだろうか?。

個人情報保護法では、個人情報取扱い業者が個人データを第三者に提供する場合は、本人の承諾を得なければならないとなっている。しかし、「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるときはこの限りでない」となっており、いかなる場合でも個人データの開示が許されないものではない事が保護法では明記されている。

従って、如何なる場合でも「それは個人情報ですからお応えできません」というのが正しい訳ではないが、事情を考慮して判断するというのは、それなりに難しく、勤め人など一般的には、会社が保有している個人情報は、目的以外の事には一切出さないと云う事になってしまっている。

わが社が主に行っている「採用調査」などは、もろにこの影響を受け、就職の為に提出する履歴書の確認も非常に難しくなっており、従来の2倍、3倍の労力を要する始末である。

履歴書は一般的には正しいものとされており、求人企業は、求職者が提出する履歴書を疑うことなく、選考基準の重要な参考資料としているが、実際に調べてみるとビックリするほどに実際とは相違している。ところが、この履歴確認さえ、容易に出来なくなっているのが、個人情報保護法である。

但し、個人情報保護法そのものに問題があるのではなく、寧ろその解釈と運用が、事なかれ主義の日本では、どんな事情にも関わらず、「個人情報ですからお応えできません」というのがベターな対応として定着して来ている様である。

「○○さんから弊社に就職応募がありまして、御社に何年何月から何年何月までお勤めであったと申告していますが、間違いございませんでしょうか?」と尋ねると、「それは個人情報ですからお応えできません」と云うのが極普通の対応である。

本人が書いた履歴書の確認が出来ない。その事を知っているワルは、経歴詐称など当たり前のことくらいに思っているようで、最近は履歴書詐称の多いことおおいこと。

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