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戸籍、住民票の第三者交付に係る本人通知制度について

会長日記2010/07/01

 小生の得意技炸裂。

以前このブログで書いたものを一部アレンジして関西総合調査業協会の会報誌、「関調協会報」に投稿したが、その記事を再度このブログに添付する事にした。

戸籍、住民票の第三者交付に係る本人通知制度について

 

この制度は、事前に登録したかたに対して、そのかたの住民票の写しや戸籍謄本等を本人の代理人や第三者に交付したとき、その交付した事実を通知する制度です。住民票の写し等の不正請求や不正取得による個人の権利の侵害の防止を図るために実施する、と云うものである。

【通知の対象となる住民票の写し等の種類】

             住民票の写し(除票、改製原住民票を含む)

             住民票記載事項証明書

             戸籍附票の写し(除籍、改製原戸籍を含む)

             戸籍謄本または戸籍抄本(全部事項証明書または個人事項証明書)(除籍、改製原戸籍を含む)

             戸籍記載事項証明書(一部事項証明書)(除かれた戸籍を含む)

     この制度を利用するには事前に登録することが必要です。

上記は箕面市のホームページより抜粋したものです。この通知システムを採用している他の市町村でも運用方法はほぼ同様のものです。

 この戸籍・住民票などの本人通知制度は、大阪府箕面市が本年21日、狭山市が6月1日から実施しており、その他では埼玉県内全64市町村で同じく本年6月1日より実施されています。今のところ全国的な広がりは見られないが、最近のプライバシー保護や個人情報保護の流れからすると、他の市町村にも広がる可能性は可也高いものと思われます。

 そこで、この制度について私なりの意見を述べてみたいと思う。独善的と批判されることは承知のうえ、否、敢えて批判される事を望んでおります。と云うのは、実はこの問題について多くの方に関心を持って頂き、議論を深めて頂きたいが為であります。私が今一番危惧しているのは、この制度が特に議論もされること無く、何時の間にか右へならへ的な形で全国的に広がってしまうことであります。

 私は、この制度には怒り心頭。平和ボケした人権論者の戯言にすら思えるほどです。この制度は、戸籍・住民票の本来の役割や確認が出来なくなった際の社会的影響などは殆ど考えられること無く、管理する役所の立場と、単に不正入手を防ぐ方法論として提案なされたものではないでしょうか。

現在の個人情報保護の流れからすると、この制度はもっともなこと。住民票や戸籍の不正請求を防ぐためには、非常に判りやすく、自分の戸籍や住民票が、誰に何時取られたかが判るのであれば一般的には非常に良い制度と思うでしょう。

確かに、こういうシステムは、虚偽も何も無い善人のみが生活する社会であれば何も問題はないのでしょう。ところが詐欺師や悪巧みを考える人、相手を騙そうとする人に取っては、これ程都合の良い至れりつくせりの制度はありません。

 所謂、商取引の相手や結婚などお付き合いをしている相手が「何処の誰なのか」公的に知る術を無くし、何処の誰なのかは、相手が言う事を信じるしかない社会にし、それを確認しようとすると、「その事を相手にお知らせする」と云うのがこのシステムなのです。

 私ども調査業は、事が起きる前に、相手が「何処の誰で、どんな人か」を調べるのが仕事です。所謂、人や物の信用度を事前に調べ、危機管理に務める事を業としており、警察は事件が起きてから調べるのが仕事です。ところが、事件にならないよう、騙されないよう、事前に調べようとしても、調べられないような社会を作り、調べると相手に調べていますよ、とお知らせする懇切丁寧な詐欺師保護法、悪人養護法がこのシステムだと云っても過言では無いでしょう

最近の個人情報保護法の流れ、戸籍・住民票の運用(第三者は入手不可能)からすると、氏名も年齢も住所も云いたい放題です。何故なら、第三者は、氏名、年齢、住所、家族構成、学歴、職歴、親子関係、婚姻関係、何一つ確認するシステムをシャットアウトされています。

 「そんな事は無いでしょう、そんな事になったら大変じゃないですか・・」そんな声が何処からか聞こえて来ますが、実際にはそうなのです。学歴は学校、職歴は職場で確認するしかありません。ところが学校も職場も第三者確認には個人情報保護を盾に回答しないのが一般的です。また氏名、年齢、親子関係、婚姻関係など、人の身分に関する事項の正確な確認は戸籍でしか出来ず、住所を証明するものは住民票です。ところが、前述の通り戸籍や住民票での確認は第三者は事実上不可能です。その事を知っているワルは、身分詐称のし放題と云うことになります。

 第三者の立場で確認できないのであれば、本人に各種証明書を提出させればいいではないか?。そんな意見が何処からかきこえてきます。ところが、最近はパソコンで各種証明書は簡単に作成でき、偽卒業証明書、偽在職証明書、偽運転免許証が出回っています(弊社の調査でも何件か確認されている)。真のワルはこんな事など皆知っています。本人しか入手できない証明書を偽造しても、第三者は確認できないのですから、大手を振って偽造できる訳です。しかも、身分詐称をして行う行為は、相手の一生を左右するような大事に至ることが多々あります。

 私は仕事柄、そんな事案を数多く見聞きしており、また弊社の調査で、大事に至るのを未然に防ぎ、感謝された経験も2度・3度ではありません。ところが今の個人情報保護やプライバシー保護の流れからすると、感謝されるほどの正確な調査は、これからは非常に難しくなるでしょう。そうです、行政がワルに「貴方は調べられていますよ」と事前に通知するのですから・・・。

 不正請求は防止しなければならない。その為の方策を講じるのはもっともな事です。でも、不正請求が何故起きるのか?。この事も真剣に考える必要が有るのではないでしょうか。「何人も理由を明らかにして戸籍や住民票の交付請求ができる」と法律で定められていたにも関わらず、役所は第三者請求に応じないから、止む無く不正請求が行われたのも事実ではないでしょうか。

 これ程個人レベルでも、危機管理、リスクマネジメントが必要な時代に、人事調査(人に関する調査)を罪悪視し、調査を規制しようとするこの姿勢はいったいなんなのでしょう。「本当に安心して暮らせる平和な社会を作らんと、」と、政治家や役人は真剣に考えているのでしょうか。真に政治を志す人は、自分の信念にもとづいて行動して貰いたいものです。

私が予ねてから主張しているのは、明治以来何故に戸籍、住民票が公開の原則を貫き、何人も戸籍、住民票の交付を受ける事が出来るシステムを、頑なに行政が護って来たかと云うことです。そうしなければ社会システムが狂い、社会の平和と秩序が保てないからでは無いでしょうか?。

 戸籍には氏名、生年月日、親子関係、婚姻関係など身分に関する事項が記載され、住民票には、何処に誰が住んでいるかと云う事が記載されています。所謂、その人が「何処の誰であるか」を証明するものであり、一般的には隠し立てしなければならない様な事項は記載されていないはずです。従って、これを公開にし、必要があれば「相手が何処の誰であるか」が判るようにして社会秩序を維持してきたのです。

例えば、住民票や戸籍を役所が見ることが出来なくなったらどうでしょう・・。多分、住民に対する大方の仕事は出来なくなり、一大パニックに陥るでしょう。民間でも個人レベルでも実際には同じ事で、この様な制度が全国的に広まり、完全に第三者の交付請求が出来なくなれば、今の社会秩序は崩壊してしまう可能性さえあります。江戸時代の往時から、「自分が何処の誰であるか」を周囲の人に知られているが為に、社会への規範意識が保たれ、秩序が維持されて来た部分が多分にあると思うのです。「何処の誰であるか」を知る術をなくせば、今の社会秩序が完全に維持されるとは云い難いのでは無いでしょうか。所謂、覆面社会で現在の平和や秩序が何処まで維持されるか、と云うことです。

 この事を協会員皆で真剣に考えてみようではありませんか。物言わぬ業界、嵐が来てもジッと頭を下げ、忍の一字で去るのを待つ、そんな従来の業界姿勢では、社会的地位の向上など望むべくもありません。内部抗争からおさらばし、物言う業界に脱皮しようではありませんか。

 

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