調査会社の会長ブログ【松谷廣信】

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戸籍法改正(法制審議会戸籍法部会)への意見書

探偵のひとり言2006/05/17

法務大臣の諮問に応じて民事、刑事、
その他法務に関する基本的事項を調査審議する機関として、法制審議会というのがある。所謂、
国の法律を改正するなどの際に、事前に学識経験者に専門的立場で審議して貰い、その答申を得て、国会に法案を提出する準備をする。
その審議会に昨年11月、戸籍法の改正が諮問され、戸籍の公開原則を見直す作業が着々と準備されている。

その審議内容は議事録を見る事によって詳細に判るが、
何とも学者先生の審議は判ったようで分からない。はじめに結論ありきで、
結論に結びつける為の理屈づけを難しく論議しているようにしか思えない様なところがある。

今回の、
戸籍法改正問題を審議している戸籍法部会においても、その例に漏れずと云った感じである。そこで、
昨日審議会の各先生方に意見書的なものを文章にして送付した。結果は一笑にふされるだけの事と思うが、業界人としては勿論、
一国民としてどうにも看過できない問題と思うからである。

以下、長々となるがその意見書的なものをここに添付してみたいと思う。


現行の戸籍、住民票の原則公開が原則非公開に改正された場合に想定される弊害について。
 

 戸籍、住民票が原則非公開となると、氏名、年齢、住所、婚姻関係、親子関係など人の身分を公証する資料は、本人が提供しない限り、
一般的には見る事も手にすることも出来なくなるということである。結果、幾ら身分を偽っても、それを見抜くことが非常に難しくなる。
公開が原則となっている現在は、少なくとも氏名、年齢、住所、婚姻関係、親子関係などの事項は、一般的に判るという背景があるが故に、
身分関係に関する虚偽の抑止に繋がっていたと思われる。

 ところが原則非公開となれば、幾ら出鱈目を言っても、それを確認する手段がないため、
平気で嘘が言えるようになりはしないか。所謂、何時でも何処でも他人に成りすましたり、透明人間(架空の人間)
になることが可能になるのでは・・。

 結果、身分詐称によるあらゆる詐欺や契約違反、契約不履行などが横行し、人が人を信用できなくなり、
極めてギクシャクとした社会が形成され、「訴訟を起こさない限り相手の身分も判らない」と言ったことになる
(提訴することによって始めて相手の住民票や戸籍を正当に入手する事ができる)。

 簡単な商取引でも一寸した契約事でも、全て契約書にして印鑑証明や住民票等を添付するシステムにしないと、
真に相手が誰であるかも判らない。今までは、何時でも確認できる背景があるが故に口約束でもある程度信用でき、
その上に立っての口頭契約も可能であった。ところが身分確認ができないとなると、事前に身分を公証する資料を基にしない限り、
大きなリスクを背負うことになる。

 行政手続等で住民票や戸籍など身分を公証する資料無くしては業務遂行は不可能ではなかろうか。故に、法改正で原則非公開となっても、
行政機関は特例で入手可能にするでしょう。

 行政はともかく民間レベルで、その都度相手に住民票や戸籍など身分を証明する資料の添付を要求するとなると、
車のハンドルに遊びがないような極めてギスギスとした社会になってしまう恐れがありはしないか。

 本年4月の個人情報保護法完全施行以来如何なる現象が起きているか・・。新聞紙上でも「個人情報過保護法では・・」などと指摘され、
匿名社会、透明人間社会を危惧する記事が多く見られるが、実際にはマスコミ報道にはみられない多種多様な弊害が数多く生じている。

 その一例であるが、官公庁は勿論民間企業の多くが人に関する問い合わせには、理由の如何を問わず応じなくなっている。
結果、就職の際の履歴確認も全く出来なくなっている。履歴書に「○○大学卒業、○○会社勤務、○○会社勤務」とあり、職務経歴書には
「○○企業で売上げナンバー1を達成」などと申告されているが、その申告事項を確認することが出来ない。

 職務経歴の内容は未だしも、勤務期間も応えなければ在職の有無さえ個人情報保護を理由に応じなくなっている。その上、
住民票も戸籍も原則非公開となれば、それこそ何も判らないことになるのでは。

 企業が求職者の履歴確認ができないとなれば、応募者は履歴の書き放題である。実際の履歴よりも、
履歴書をどう書くかによって採否が左右されるような事が、笑い話でなく、実際に起こりうることになる。現行でも、
中途採用時における応募者の履歴はかなり詐称されている。採用調査を主に行っている調査会社の統計によると、30%
強に職歴詐称が認められる。学歴詐称は現在学校側が第三者からの卒業確認に応じないため、
曖昧ではあるが詐称と思われるケースも数多く見受けられる。尚、
職務経歴書にいたっては正確に申告しているほうが少ないと言える状況にあります。

 米国においてはネグリジェレント・ハイヤリングなる考え方によって、入社前に求職者の履歴確認を如何に行ったかによって、
従業員が起こした事件の使用者責任の度合いが大きく左右されることになっている。従って、採用マネージャーの仕事として、
求職者の履歴確認は、必要最小限のこととして義務づけられている。
 従って、先日京都で起きた塾講師による児童殺害事件などは、塾側の使用者責任が大きく問題視され、
採用前の人事調査がどこまで実施されていたか否かが大きな問題となる。特に、今回の事件は、採用前調査が正確に行われていれば、
事件を未然に防止出来た可能性が大きいだけに、特にこの点を指摘しておきたい。

 但し、従来からの厚生労働省の指導及び個人情報保護法の施行に伴い、今の日本では、就職の際の履歴確認は出来なくなりつつあるし、
「人事調査はしてはいけない」との指導を行政機関(厚生労働省)が中心になって行っている。また、
プライバシーの自己コントロール権なるものが印籠のごとく使われだしており、個人情報保護が行き過ぎて、
社会生活や経済活動を萎縮させてしまうことが懸念されるに至っている。
  
 就職の際の履歴云々は単なる一例であって、結婚や商取引など社会生活を営む上において、
相手の確認が個人情報やプライバシーを理由に取れないような事になれば大変なことである。にも関わらず、
本年4月の個人情報保護法施行以来徐々にそうした社会になりつつある。その上、戸籍、住民票が原則非公開という事になれば、
社会の諸制度や円滑な社会生活が阻害される怖れが非常に高いものと思料される。
 
 プライバシーや個人情報は、公共の福祉や利益との関係で、如何に調和を考えるかが非常に重要な問題だと思われる。
一方的にプライバシーや個人情報の保護を主張すれば、共生、協調、
協働と言った円満な社会生活を営む上で大きく摩擦を生じるのは当然のことで、比較考量の問題が重要になってくるものと思われる。

   
 ただ、住民票に記載されている氏名、生年月日、住所、本籍、性別などは単なる個人を識別する情報であって、
その中にプライバシーがあるとは考えられない。無論センシテイブな情報などは全く含まれていない。
それ故に従来から一貫して公開の原則を貫いてきたものと思う。

 以上の文に、戸籍・住民票を入手することにより詐欺的被害から事前に免れた調査事例を列記して送付させてもらった。但し、
事例集は長くなるので次のブログに添付することにする。

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