採用調査に関する要望書 |

調査会社の会長ブログ

採用調査に関する要望書

2015年04月02日

春爛漫。大川端の桜も今日はほぼ満開。従って、この時期になると、何時もの北浜駅の一つ手前、天満橋駅で下車し、桜のトンネルを通って会社に向かう事となる。

昨日は春雨のなか、今日はそよ風のなか、ただただ桜を楽しみながら会社に向かった。

そんな爽快感のなか、予てから小生の懸案であった、採用調査に対する厚生労働省の行政指導問題にについて、意を決し、要望書を提出することにした。

そこで、このブログで、その要望書の下書きを公開し、皆様の貴重なご見をお聞きかせ頂き、その意見を反映させ、要望書を仕上げたいと考えています。辛辣なご意見をお聞かせ頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。

 

厚生労働省 殿

一般社団法人関西総合調査業協会

会長 松谷 廣信

就職の際の身元調査に関する要望

時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

この度、厚生労働省がご尽力なさっておられる、就職差別解消にむけての公正採用選考に関する行政指導について、ご要望申し上げます。

厚生労働省が、かねてより一貫して、就職差別解消に向けご尽力なさっている事については、日頃より当協会は勿論、業界人の多くが深く感謝申し上げているところでございます。

私どもは、従来から、あらゆる差別撤廃に向けて鋭意努力すると共に、差別調査の根絶に向けての自主規制を設け、自らは勿論、社会に向けても、その意を積極的に呼びかけている業界団体であります。

ただ、意図があったか無かったかはともかくとして、過去に、私ども調査業界の調査及びその報告が、就職の際の差別に使われるという不幸な事象があったことも事実であり、その点を深く反省すると共に、二度とそのような事案を起こさないことが、業界の社会的責務と心得、差別解消に向けての努力を惜しまず研鑽してまいりました。

その結果、少なくとも過去15年間は、当業界関係者の調査及びその報告書が、就職の際の差別に使われたと云う事実は無く、長年に亘る厚生労働省の行政指導と各種人権団体の活動及び我が業界の努力により、少なくとも就職の際の「部落差別事象」は100%解消されたと確信しております。事実、そうした意図をもっての調査依頼をする企業も無ければ、そうした調査を受ける業者も100%無くなったと確信するに至っております。

しかし、貴省庁は、就職の際の「身元調査」を長年に亘り、身元調査は差別につながるおそれがあるとして、一貫して「身元調査は絶対にしないでください」との行政指導を行っており、労働行政機関が発行する冊子、「採用と人権」などには、その趣旨が強調して述べられております。

また、貴省庁が常套している「身元調査」という語句が、如何なる調査を指して「身元調査」と定義しているのか判然としないところがあります。一般的には、身元調査という言葉は、人に関するあらゆる調査を総称して使われていることが多く、使用する語句の定義が示されていないことから、広く、就職の際のあらゆる調査を禁止しているものと解釈されています。

私どもは、前述しました様に、就職差別は勿論、あらゆる社会的差別を根絶すべく、協会設立当初より努力し、あらゆる差別調査を無くすべく、自主規制してまいりましたが、未だに就職の際の、人に関する全ての調査を禁止しているかの如き、貴省庁の行政指導を、そのまま容認することはできません。

貴省庁が指導する、就職の際の身元調査の規制で、「採用しようとする人の職務遂行能力とは直接かんけいのない身元調査」を規制するというのであれば、一定の理解はできますが、現実には、私ども調査業界で実施している、就職の際の身元調査は、応募者の、履歴書や職務経歴書の申告に間違いが無いか否か、過去の勤務先での勤怠状況、事故をつけての退職で無いか否か、募集する職務への適格性、求める就業に耐え得る健康状況にあるか否か、就業できる生活環境にあるか否か、など、採用する人の職務遂行能力に関係する直接の調査を実施しているものであります。

ところが、実際の行政指導は、「就職の際のあらゆる身元調査」を禁止するかの如き指導が一貫して行われております。

その事により、就職の際の身元調査禁止の行政指導に基づく弊害が現実に相当起こっております。マスコミ報道などにより広く知られている、殺人容疑者の逃亡、集団登校への突込み事故、塾講師による生徒殺害事件、入所患者への虐待、爪はがし事件など、就職の際の身元調査を実施していれば、未然に防げたであろうと思われる事件は数多く発生しています。また、表には出にくいが、応募者の履歴書や職務経歴書の詐称はごく一般的にみられ、中途採用時の履歴書には、30%強(調査業界関係者の実際の統計)の詐称がみられます。酷いケースですと、学歴、職歴の全てが詐称されているものもあります。また、申告する現住所に実際には住んで居ないとか、機密情報の入手を目的の応募(産業スパイ行為)など、普通の筆記試験や面接では到底見抜けない問題が多く発生しております。

また、厚生労働省は「公平な選考に努めるように」との指導を強く行っておりますが、正直に書かれた履歴と、詐称された嘘の履歴を同じテーブルに並べ、本当に公平な採用選考が出来るのでしょうか。

現在行われている採用時の身元調査は、あくまでも、採用選考の公平性を確保するための補完資料として利用されているものであり、応募者の職務遂行能力を判断するための補完資料でしかありません。ところが実際には、貴省庁が行う行政指導に基づいて企業が「公平な採用選考」に努めようとしても、公平採用の為の身元調査(補完資料)を固く禁じているために、公平な採用選考が出来ず、虚偽申告をする要領の良い人が採用され、正直に申告した真正直な人が不採用になると云った、不公平な採用選考が起こっているのも事実であります。

アメリカでは、ネグリジェントハイアリング(過失雇用)なる考え方に基づき、採用前のバックグラウンドリサーチは、採用マネージャーの第一の仕事と云われるくらいに一般的に実施されており、採用前調査を
実施したか否かで、司法判断の際の、使用者責任の度合いが大きく左右されるといわれています。

日本でも、昭和48年に示された司法判断、「三菱樹脂判例」(最高裁)では、

1. 憲法14条や19条は、もっぱら国または公共団体と個人の関係を規律するもので、私人相互の関係を直接規律することを予定したものではない。

2. 企業者は、自己の営業のために労働者を雇傭するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができるのであって、企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもって雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない。

3. 企業者が、労働者の採否決定にあたり、労働者の思想、信条を調査し、そのためその者からこれに関連する事項についての申告を求めることも、これを法律上禁止された違法行為といえない。

4. 労働基準法3条は雇入れそのものを制約する規定ではない。

5. 新卒採用にあたり、採否決定の当初においては、その者の資質、性格、能力その他上告人のいわゆる管理職要員としての適格性の有無に関連する事項について必要な調査を行ない、適切な判定資料を十分に蒐集することができないため、後日における調査や観察に基づく最終的決定を留保する趣旨でされるものと留保解約権の行使にあたっては、上述した解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許される。

―との司法判断が下されております。

以上の理由から、厚生労働省が行っている、「就職差別解消」の取り組み、及び、「公平な採用選考」に向けての行政指導のあり方について、再度ご検討を頂きたく、お願い申し上げます。

具体的要望事項

1、「就職の際の身元調査」について、私ども業界団体と話し合いの機会を設けていただきたい。

2、厚生労働省及び都道府県の労働行政部局が発行している冊子、「採用と人権」にみられる、「就職の際の身元調査は絶対に行わないでください」との文言の削除。

3、就職の際の「身元調査」の語句の定義の明確化。

 

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