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身上調査

調査 2017/09/19

身上調査とはなんでしょう?

「身上調査」とは一般的には人の経歴、性格素行、家族関係など人に関するあらゆる調査の総称として使われています。
「身元調査」と言われる場合もありますが、業界内でも特定の使い分けはされておらず、人権団体や行政でも「身上」との使い分けは出来ていないようです。そのため、聞く人、話す人によってその言葉の意味する内容は違うというのが現状となっています。
 昨今ではこの身元調査が「バックグラウンドチェック」「リファレンスチェック」などとも言われ、企業が中途社員などの採用時に、応募者の経歴を確認することを指す場合もあり、むしろそちらの言葉のほうが採用業界などでは一般的になってきています。

※参考「リファレンスチェックの意味はあるの?」https://www.ks110.com/column/diary/846/

■身元調査はやってはいけない?

 身元調査の近年の変遷からみていきましょう。

 かつて戦後復興から急速に経済が発展した時期などを経て、企業が人を採用する際に「身元調査」を行ったり、結婚の際に「身上調査」を行い、問題がない人物かを確認することは一般的な行為でした。お見合いの際に相手の写真とともに「身上書」が送られてくるのも見たことがあるのではないかと思います。その時代における「問題がないか」という概念は現代と違って、「家柄」「商売敵」「地域」など様々な障壁があり、結婚も自由恋愛ではなく家と家との契約の概念が強かったため、「身上調査」もより一層必要とされたものと思われます。
 しかし昔のように「家柄」や「家系」が重視されなくなり、「個」の概念が強くなってくるに従い、このような「身元調査」は必然、その役割を終えていく流れになります。一昔前、会社において男性社員の「嫁さん候補」だった女性は、雇用機会均等法により社会進出が進み、より一層「個」としての実力重視へと比重は移っていきます。家柄よりも仕事はできるか?が企業としては重要になってくる、というわけです。
 そういった流れの中で、身元調査はやってはいけないというよりも、それって何のためにするの?という疑問が湧いてくる、というのが現代の感覚ではないかと思います。

■現代における「身元調査」とは?

 昨今、「身元調査」という言葉を日常的に使う人というのは決して多くはないかと思います。
むしろ、HR部門(採用・人事関連)の担当者などは「バックグラウンドチェック」「リファレンスチェック」という言葉で、採用者の前職評価や確認のため聞くことは増えていると思われます。
それは昨今中途採用市場が拡大するにつれ、新卒採用のように卒業証明書や健康診断書もない中で、面接だけで判断するのが困難であるという状況があります。また個人情報に関する過度な秘匿意識の高まりが逆に悪用されることも多く、詐称・詐欺によるトラブルも増えています。
 雇い主側には、当然雇い主としての責任があります。泥棒を金融機関のガードマンはさせられないし、子どもへ虐待をしている人をベビーシッターには採用できませんよね。

■海外では

 アメリカなどでは中途採用の際には必ずと言っていいほど「バックグラウンドチェック」を行います。日本における外資系企業も本国にならい、バックグラウンドチェックを必須としている先は多いです。訴訟社会であるアメリカでは、従業員として人を雇う場合にはどういった人物であるかをしっかりと把握をした上で雇用することが、雇い主側の最低限の責任として認識されているためです。これをネグリジェントハイヤリングといいます。

例えば

・工事現場の作業員募集に対して、免許取り消しになっている人物を雇い、事故を起こしてしまう。
・幼児虐待・性犯罪歴などのある人物を保育士として雇い、園児にいたずらをされる。

などの事件が起こってしまった後では、その会社自体が事業を続けられなくなる程のダメージを受けることは決して珍しくありません。

※参考:ネグリジェントハイヤリングについて
https://www.ks110.com/column/diary/20/

■法律上の問題は?

 身元調査をやってはいけません、という法律はありません。冒頭で示したように身上調査・身元調査という言葉の定義自体が曖昧な状況において、それをやってはいけないという法律も成立しようがないわけです。「差別につながる身元調査はやってはいけない」という都道府県ごとの条例はあります。また、身元を調査する内容や目的が、プライバシーの侵害や、人権侵害にあたる場合には、その点において違法性が問われるといったことは当然あります。しかし何度も言う通り、バックグラウンドチェックやリファレンスチェックは会社が雇用主としての責任を果たすために必要という考え方はあっても、これを行ってはならないという法律は存在しません。

※参考「〇〇調査」というもののそれぞれの定義について:https://www.ks110.com/column/examination/5/

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