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商工会議所女性会のこれから

コラム 2023/07/05

全国の商工会議所に女性会、というものがある。男性経営者が中心の商工会議所内に、女性だけの経営者の会を作り人脈やビジネスの糧にしようとしたものである。

大阪の各地域に商工会議所があるうちの一つに所属させてもらっているが、そちらの女性会が今年20周年とのことで記念祝賀会が開かれ参加してきた。20年前、事業を自ら立ち上げていた女性経営者は、その設立に際して参加したときには、商工会議所の職員に「よく来たね。」と頭を撫でられ、まるで子ども扱いだったという。こう書くと、当時女性は差別されていてという文脈に捉えられるが、それほど屈辱的なニュアンスでもなくその女性経営者の方は「そういう時代だった」と淡々と語られていた。
使えるものは全部使って最終的にはビジネスに繋がり信頼関係を築けるようになればいいと思っていたとのこと。土井たか子が社民党党首となり、女性活躍がこの時代も声高に叫ばれていたとのことで、そのブームに乗ったのだと楽しそうに話されていた。

祝賀会は、設立当初10名程度だったものが今年75名まで拡大した女性会会員に加え、商工会議所の会頭、副会頭、また市長も参加し盛大に行われた。市長の挨拶で「今、LGBTQや性自認の問題でもはやあえて’女性’と言う必要があるのか」とのお話があった。「まだ女性の活躍が難しかった時代に道を切り開いてこられた方々のご苦労があってのこと」とも。
その通りだと思う。
今や敢えて「女性は」と肩肘張って主張することがすこし違和感を覚えるくらい、若い世代の間では男女格差というものは薄れてきていると感じる。もちろん世界的に見てジェンダーギャップ指数が最低レベルの日本において、制度や体制としてはまだまだであるが、普段の会話や意識としては女性会発足当時の方々からすると隔世の感があろう。ただ、その状況が物心付いたときから当たり前だった世代にしてみると、当然その状況がまさか差別と戦い、常識を変えるために途方もない労力を経て獲得してきたものであるという認識はない。あって当然のものであり、それが自然・常識でなければいけないものとなっている。そのため今の時代に「女性は」と敢えてカテゴライズして話すことのほうがタブーだと感じることとなる。
しかし、現在の状況は自然とそうなってきたわけでもなく、世の中は常に時代とともにより心地良い方向へ変化していくもの、ということでもない。

「そうであるべき」「こうなってほしい」と思い、行動し、変革してきた人たちがいてはじめて獲得されたものなのである。

平成31年、東京大学入学式で上野千鶴子氏が述べた祝辞が話題になった。
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message31_03.html

「~前略~あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。」
男女も身分も関係のない平等なテスト基準があり、努力をしてその基準を突破すれば入学できる、という環境は先人がそのような世界に変えてきたからだということを自覚しておくことは大切なことだと感じる。ほっておいても自然とそうなった、と感じることは、自分がその傍観者であり主体的にハンドルを握って操作することがなかったこと。自分自身の意志でハンドルを握り、運転をし、目的地にたどり着いたことであれば、それは自然とそうなったことではなく「そうしてきたこと」である。
自分の人生のハンドルを自分で操作しなければ目的地にはたどり着けない。

設立記念式典など、行う意味や、これまでの歴史を振り返ることの意味をあまり考えたことがなかったのだが、おそらくそういった経緯を知ることは今後自分たちがハンドルを握る上では非常に重要なことなのだ。

去年女性会には参加したばかりで隣の席に座る方のお名前も15分ほど前に覚えたばかりの自分は、まだハンドルどころか車の荷台に乗っかっている程度のことであるが。

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