調査と個人情報 | 調査会社の会長ブログ【松谷廣信】就活に関する信用調査

調査会社の会長ブログ

調査と個人情報

2012年11月15日

 毎年の事ながら、この時期になると会報誌の原稿を提出せよとのご下命が、業界の事務局よりよせられる。そこで、無い頭を絞りながら考えるのだが、結果は何時ものボヤキ節に成ってしまう。それでも、マッちゃんのボヤキがないと会報にならないと慰めてくれるお人も居るので、今年も懲りずに書きました。一読あれ・・・、そしてご意見が頂ければ、それこそ幸いです。

「調査と個人情報」               松谷 廣信

 新年明けましておめでとう御座います。会員の皆様方には清清しい年を迎えられたこととお喜び申し上げます。今年は巳年とか、巳は神の使者、行いが良ければ神は必ずご褒美を巳に託してくれるはず。それを信じて、今年一年、会員一丸となって善行に努めましょう・・・。

 それにしても昨年は業界に取って大変な年でしたね・・。各種情報の不正取得が司直の手を煩わせる事となり、業界関係者と思われる人の名前が新聞紙上に見られた事も1度や2度で無く、明日は我が身と心細く感じられた人も居たのでは無いでしょうか。

 そこで今一度、「調査と個人情報」について考えて見る事にしました。

私ども組合員の仕事は、大半が探偵業法でいうところの調査業務に当たり、「他人の生命、身体、財産のために必要な人の所在又は行動に関する事項について、当該他人の需要に応じて調査し、その結果を当該他人に報告する業務」に該当しているものと思われます。そして、その調査には、個人情報は必要不可欠なものであり、言い換えると、個人情報の入手そのものが探偵業務であると言っても過言ではありません。

ところが、個人情報法保護法が施行されて以後、個人情報は本人承諾無くしては、他人が入手してはいけないもの、と一般的に解釈されている様で、業務に着手する毎に、「それは個人情報ですから・・」「そんな個人の事は・・」など、他人の事は調査してはいけないかの如く、お断りの言葉を耳にするのが当たり前の事となっています。ところが、一方何か事があると、「よく調べてみます・・」「再度調査をして・・」と、何か正確をきそうとすると、「調査をして」との言葉が、これまた当たり前の事となっています。

所謂、調査は物事を判断する上での大きな役割を担い、一般的には、商取引の祭の法人・個人の信用調査、結婚や就職の際の人物調査、夫婦関係や交際相手の素行調査(異性、経歴、金銭等を含む)、会員倶楽部等への入会審査の調査など種別は様々ですが、一様に信用度、信頼度を客観的事実(調査)を持ってはかろうとするものであります。

人生80年、一生に1度や2度は、誰でもが被調査人の立場になったり調査依頼人の立場になる可能性を持っており、非常に身近な問題と言えるのではないでしょうか。

しかし、一般的に人は、被調査人の立場で物を考え、意外と依頼人の立場で考えることはしない様です。被調査人と依頼人とは全く立場を異にし、知りたい立場と知られたく無い立場に別れ、立ち位置によって調査に対する考え方も大きく違ってきます。しかし、現代の日本は、戦後アメリカの占領政策による日本弱体化政策の恩恵を受け、個人主義の思想が蔓延し、弱い立場の人が主張する事が、民主的で正当な考え方の様に捉えられ、政治家は大衆迎合一辺倒で、100年の計を持って天下国家を考える様な国士的人材は数少なくなっています。そんな事に起因してか、調査に対する考え方も、調べられる立場、知られたく無い立場から見た考え方が優先し、知りたい立場、調べる立場からの考え方は余り取り上げられる事が有りません。

個人情報保護の考え方も極めて一方的で、今では個人の情報は全て本人に帰属し、本人承諾無くしては何一つ取ることが出来ないかの如く考えられています。

個人情報保護法は決してその様な法律ではなく、個人情報の有用性に配慮しつつ、5千件以上の個人情報をデータベース化(個人情報を容易に検索することが出来るように体系的に構成したもの)し、それを業務の用に供している者を「個人情報取扱業者」と定め、この個人情報取扱業者に規制をかけ、現在のコンピューター社会での個人情報の大量流出と不正使用や目的外使用を無くし、個人の権利利益を保護する事を目的としてつくられた法律にも関わらず、「個人情報過保護法」と揶揄されるまでに拡大解釈され、結果、就職の際の履歴書が正しいか否か、その確認さえ不可能で、履歴は書き放題、職務経歴は言い放題の非常に歪んだ社会が構築されようとしています。調べる事が悪としたら何が本当か分からなくなる。本人申告を確認する事が出来ないとしたら、勝手な申告のし放題である。それを知っている行政官は、自分らは特権により、その確認が出来るようにしているが、民間にはそれを規制し、「何が真実か・・」を調べる権利を取り上げている。戸籍も住民票も非公開、学校は卒業確認に応じない、行政も企業も在籍紹介に応じない、データー化されている個人情報の入手は不可能。これ全て、個人情報保護法が施行されて以後の現象である。

そんな事を知ってか知らずか、弊社で扱う履歴書や職務経歴書に30%強の虚偽記載が発覚しており、中には学歴、職歴の全てを詐称し、正しいのは名前と年齢だけなどと云うのもあれば、住所も年齢も虚偽申告している人さえいる。しかし、それが判明するのは、ベテラン調査員が塀の上を歩きながら調べた結果であり、素人が自ら調べようしても今の社会制度では何一つ判らないのでは無いかと思われる。

極最近の出来事であるが、弊社に一部上場の某企業から採用調査の依頼があった。被調査人の履歴書たるや、一見して超エリートと思わせるもの。

月開成高校卒業、同時に東京大学法学部入学、ストレートで同大学卒業。同年4月大蔵省入省、同年9月ハーバード大学法科大学院入学(国費留学)。3年後同大学院卒業、帰国し大蔵省退省。三菱商事に就職、4年後にヘッドハンティングで帝国ホテルに就職、3年後再度ヘッドハンティングにより東京ガスに就職。思うところあり3年の勤務を経て独立、以後、外務省の支援業務(通訳)に従事し現在に至る。しかも、申告の職務経歴書たるや物凄い実績で、会社貢献度抜群の記述となっていた。

一見、世の中にはこんな凄い人も居るのだな・・、そんな印象を持たせる履歴書であった。しかも、依頼先は一部上場企業。聞けば、社長面接まで済ませ、一応合格ラインにあるとのこと。従って、申告履歴に大きな相違が無ければ、即戦力の管理職ポストでお迎えしたい意向、との事であった。

ところが、調べてみると、この履歴は全くのデタラメ。学歴も職歴も全て詐称で、本当は関西の府立高校を何とか卒業はしたものの大学受験に2度失敗し、以後フリーターとして転々と職場を変わり、結婚もせず未だ親の脛を齧る甘ちゃんで、40歳余になる今まで正社員での勤務経験を持たない御仁であった。

就職の際の履歴書がそうなのだから、彼女や彼氏を口説くさいのバックグラウンドなど押して知るべしといえなくも無い。ところが厚生労働省が後生大事に毎年発行している「採用と人権」等の冊子によれば、採用時の調査等はもっての外と云った感じで、身元調査イコール差別と決めつけ、悪の権化のようなニュアンスで書かれている。だいたい身元調査の用語の定義も持ち合わせず、身元調査と言う言葉を平気で漫然と使っている(以前、会議の場で労働部の行政官に「身元調査」の定義を問うたが、答える事が出来なかった)。

そんなこんなで、「調査と個人情報」に関し、日頃の思いを書き始めれば切りがないが、紙面も限られているのでこれくらいとするが、組合員の皆様、今年はこんな問題もお互いに勉強し議論を深め、社会に対し主張すべきは主張し、ひいては日本の良き文化を継承する社会構築に貢献しようではありませんか。

今年もご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。

 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

http://www.ks110.com/hm/2012/11/post_401.php/trackback

コメントを残す

(いままで、ここでコメントしたとがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

内容をご確認の上、送信してください。

関西総合調査業協会会員

NPO法人全国調査業協会
連合会加盟員

全国調査業協同組合
(内閣府認可法人)会員

大阪興信探偵業協同組合会員

東京都公安委員会
第30070479号

大阪府公安委員会
第62070608号

大阪府知事届出

大阪商工会議所会員

セコムトラストシステムズ
SSL GMOグローバルサインのサイトシール
LINK