調査会社の社長ブログ

東北地方太平洋沖地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

身元調査

 関西総合調査業協会の会報誌を1月中に発行する予定であったが、日常の雑事に追われ、未だ原稿も書けていない。 そこで何時もの奥の手、このブログの一部を転載しお茶を濁すことにした。その上今週は、 その記事をこのブログに貼り付け一丁上がりと決め込むことに。何んとももはや・・・伊達に歳をとった訳ではなさそう・・・。

「新春放談」                                    会長 松谷 廣信

 新年明けましておめでとう御座います。会員の皆様には清清しい新年を迎えられたこととお喜び申し上げます。

私は、 自社のホームページ(http://www.ks110.com/hm/) 上で「調査会社の社長ブログ」と題し、5年程前から、 その日その時にあった事、疑問に思っている事をブログに書いている。そこで、また手抜きとお叱りを受けるのを承知の上で、 その一部を引用させてもらう事にする。

「昨年末、御用納めの日のブログ」から

 毎年の事ながら過ぎ去った1年は実に早い。 苦しい時の1分はとても長いが楽しい時の時間はアッと云う間。 時間の長さは世界共通であるが、感じる長さは人により皆違う。また、 同じ人でも気分や状況によってその都度違う。そんな事を考えていると何が正しいのか、何が違うのか、よく判らなくなってくる。 曰く、 「百万人の人が居れば百万の正義がある」 と云うのもうなずける。

 そこでひとくさり、今年強く感じた事を書くことにする。 以前はよくこのブログで人権問題の愚痴を独善的に並べ立てていたが、 暖簾に腕押しで、書けば書くほど空しくなってくる事を悟り、 敢えて避けて来た。だが、今年ももう終わり、この事実にだけは触れない訳には行かない。

 今年、死体遺棄事件で逮捕された市橋達也容疑者と云えば、 誰でもその事件背景と逃亡振りは脳裏に浮かぶと思う。この市橋達也、 仕事を転々とし最後は住み込みで土建会社に勤務していたと云う。 逃亡期間中、偽名を使い、容姿も変え、履歴は全て詐称し、就職する先々で嘘八百を並べたてて勤めていたものと思われる。 そして最後に勤めていた土建会社は、元受会社より大目玉。 「従業員の身元も確認せず誰でも採用しているような会社とは今後取引をしない」 とのお達しで、取引停止になったとか・・・。

 ここで少し考えてみよう。厚生労働省は、「採用調査は差別に繋がるおそれがあるから、 しないように」との行政指導を一貫して行っている。所謂、試験と面接で採否を決めなさい、履歴確認、前職での勤怠確認、 住所氏名の確認など人に関する調査はしてはいけない、とのお達しである。で、そのお達し通りに従業員を採用していると、 取引先から大目玉と云う事になった。

 企業は取引先の信用を失えば終わりである。 信用を築くには相応の年月と努力とを要するが、失墜するのは一瞬である。 「企業は人なり」、 とは言い古された言葉であるが今の情報社会でも何ら変わることはない。やはり「企業は人なり」である。 その企業の礎である人の採用に関し、調べる事は望ましくないとはどう云うことか。

 厚生労働省や人権団体は、人に関する調査を一くくりにして 「身元調査」と云い、 身元調査は差別につながるおそれ云々として指導しているが、実は身元調査の定義を問うとまともに答えられない。  また、一般にも身元と云う言葉は千差万別に使われており、 その人、その状況によって使われ方が違う。そんなアバウトな言葉であるにも関わらず、身元調査と云う言葉を使っている。 ある意味、今の個人情報保護に似たようなところがある。

 こんなブログで昨年を占め括ったが、本年1月7日の朝日新聞夕刊(東京)に、“市橋被告雇って苦境” 「身分確認甘い」と取引停止、と題した記事が掲載されていた。「昨年11月、市橋被告が働いていたことが報じられると、 同社にはその日から『未来永劫、取引はやめたい、ほかの作業員は大丈夫か』といった問い合わせが相次いだ。 とあり、大阪府中小建設業協会は加盟社に、 身元が明らかな作業員を雇うよう指導している。協会の岡野三郎会長は、「今は労働法制も整備され、使用者の責任も厳しく問われる」 と話す。との記事が掲載されていた。

この記事が何を意図して書かれたか私にはよく判らないが、何れにしても厚生労働省のご指導に従い、本人申告を信じ、 身元確認もせずに面接重視で採否を決定したら、「未来永劫、取引はしない」 と云う事が現実に起ったのである。たまさか運が悪かったでは済まされない。経営者は、 企業の発展に努め従業員の雇用の安定を図る責務を負わされている。ところが厚労省は、そんな事はお構いなし。 採用調査の中味など全く把握もしないで、人権団体の言われるがまま、「身元調査(採用調査)は差別につながる・・・」と、 金科玉条の如くのたまり指導している。

しかし、 我ら業界団体は行政に物申す事無く、ただただ忍の一字で耐えてきた。結果が今の成すすべも無いほどの業界不況である。私は、 「警察官が窃盗しても、ある意味仕方がない。 しかし、泥棒が警察官に成ることがあってはならない」と云うのが信条で、 23歳の時から40年人事調査一筋にこの業に携わって来た。そして、業界活動を通じ同和差別解消に努力してきたにも関わらず、 未だ大手を振って大道を歩かせては貰えない状況にある。

今年は今一度初心にかえって、真の業界活動のあるべき姿を考えてみたいと思う。会員の皆様のご理解ご協力の下に、 一生懸命頑張りたいと思いますので、本年も宜しくお願い申し上げます。

 

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