2008年08月25日
人事調査と差別
■社長日記■「松谷さん、全調協(NPO全国調査業協会連合会)の会報原稿が今日期日ですが、 どうなってますか?。」。編集委員長からの催促の電話(可也怒っている様子・・・)。「エッ・・、申し訳ない。夕方までに何とかします。」、「20文字30行の6千字でキッチリお願いします。そのスペースしかありませんから」。そんな、 小説家でもあるまいし、文字数まで細かく決められて書けるか・・・!!。ひと言、 云いたいところではあるが期日当日までコロッと忘れていた自分が悪い。渋々パソコンに向かった・・・、 そこで出来上がった原稿を今日のブログとする。
調査と人権「採用調査と差別」 松谷廣信
米国では、従業員を採用する際に、求職者のバックグランドを調べるのは当然の事となっている。ネグリジェント・ ハイアリング(雇用主の怠慢雇用)なる考え方から、雇用主が求職者のバックグランドを調べる事無く採用した場合と、 調べて採用していた場合では、採用後に起こした事件・事故に対する使用者責任が全く違うからである。
例えば、飲酒運転の過去を持った人を運転手として採用し、 その人が事故を起こした場合は、雇用者責任を問われ、訴えられれば敗訴するのは明らかである。しかも、 アメリカでは納税者の情報はパブリックレコードとして一般に公開されており、このレコードを調査することで、 必要なバックグランドのチェックができる。犯罪歴やクレジット情報なども比較的簡単な手続きで第三者でも入手可能となっており、 採用時のみならずあらゆる機会にバックグランド調査が利用されている。従って、米国では採用調査は、 採用マネージャが行わなければならない最低用件の一つになっている。
ところが日本では採用調査を罪悪視する傾向さえあり、厚生労働省などは 「採用時の調査は差別につながるおそれがあり、調査はしてはいけない」 との行政指導を徹底して行っている。また、個人情報保護法施行以後は、履歴確認さえままならず、官公庁・学校・ 企業共に個人情報保護を理由に経歴確認にさえ応じなくなっている。犯罪歴とかクレジット情報などもっての外と云う状況にある。
いったいこの違いは何処から来るのであろう。それを単に「文化の違い」と説く人もいるが私にはとてもそうは思えない。 日本でも30年ほど前まではアメリカ同様、採用時の調査は広く行われ、 社会的にも当然の事として認知されていた。ところが、当時の採用調査には一部差別的な要素を含んでいた。そこで差別解消の為に、 採用調査を否定する動きが起こったのも当然の流れと言えなくはない。
しかし、人権団体や行政及び我ら調査業界の運動の成果で、現在の採用調査(人事調査) に差別の意図などは全くないし、そうした意図を持って依頼する企業もなくなった。
ところが行政も人権団体も十年一日の如く「調査は差別につながるおそれ・・・」として、 調査を否定する論拠としている。「何々のおそれ」で物事を否定する事が許されるなら、あらゆる事物事象が否定されるであろう。
私は、塾講師が生徒を殺害した「沙也乃ちゃん殺害事件」が起きたとき、採用調査の必要性が社会的に再認識され、 少しは改善に向かうのでは・・と密かな期待感を持った。が、未だしである。業法施行がなった今、 採用調査を含むあらゆる人事調査のあり方を今一度真剣に論議し、真の人権が護れる社会ルールを形作っていきたいものである。
投稿者 ks110 : 2008年08月25日 17:19