人事部っぽくない人事部のひとたち
仕事柄、お会いする方々は人事部、採用部の担当者も多い。
人事部の方というのは会社の雰囲気を体現するかといえば、結構違う気がしている。
会社が目指す雰囲気を体現はしているかもしれない。(それはそれでさすがプロ。)
よく就職活動中の学生に人事部の人をみて会社の人たちの雰囲気を図らないほうがいい、というアドバイスがある。
それはその通り。
怖い印象を持たれがちな人であったり会社の悪口ばかり言うような人が採用担当に任命されることはまずない。
人当たりがよく、この人がいるなら入社してみたいと思われるような人が理想であるに決まっている。
さて、先日とある上場企業の人事部の方々との打ち合わせに行ってきた。
人当たりのよい柔和な雰囲気の女性社員に、真面目そうな清潔感のある男性社員・・・ではなく、
並んだのは平均身長180cm、体重80キロ(推定)の男性が5名。
一人は横幅2人分くらいある恰幅のいい方。5名中4名は真っ黒に焼けていて、うち一人はなぜか作業着姿。
あら?打ち合わせ場所を間違えたかしら?受付の呼び出しの方が間違えた?といろいろ疑心暗鬼になりながらも打ち合わせスタート。
弊社のバックグラウンドチェックの説明もそこそこに、なにせ聞きたいのはこの5名の素性である。
あの・・・本当に人事部の方ですか?なんて聞けるわけもなく、これまでのキャリアを聞いてみたら全員が現場出身者とのこと。
そこで実際波乱万丈な先輩達にもまれ、多種多様な後輩達に翻弄され、魑魅魍魎の現場をくぐり抜けてきた猛者たち・・・と言ったらさすがに怒られるか。(まあでもそんな感じ。)
その会社の面接シートを見せてもらってこれまたカルチャーショック。
面接シートとは応募者との面接時に企業側が残す面接議事録みたいなもの。
結構プライベートなことを書いている。
奥さんが一人目を妊娠中で色々大変とか、学生時代に金を使いすぎて学費が払えなくなって退学とか、前職上司と喧嘩して翌日机がなかったとか。決して珍しくない話だが、なにせこれは企業面接の議事録である。人生相談のカウンセリング記録ではないのだ。よくぞこれを聞き出したなあ、、、感心すべきはそこである。
これまで〇〇に従事し、〇〇の企画を立ち上げから収益拡大まで達成し、とか。
今の仕事の範囲からステップアップしてもっと〇〇で成長してみたく。
そんなこれまでの実績と今後の展望と応募企業への期待で埋め尽くされるシートが多い中で、現場出身の5名が布陣するこの企業の人事部は、みるみるうちにその人が浮かび上がってくる面接をしている。
バックグラウンドチェックを仕事とする我々は日々非常に多くの履歴書を目にして、解読していくが、会ったことも声を聞いたことも紹介されたこともない、履歴書一枚からその人を想像するのはとても難しい。特に最近の履歴書は、ある程度訓練された調査員ですら想像するのを拒絶されているように感じるほど何も記載されておらず全くわからない。
この人事部の方々はきっと、現場で日々接してきた人達と話をするように面接をしているのだろう。
明日この人が現場に「今日からお世話になります」と入ってきたらと思いながら話を聞くのだろう。身長185cm体重90キロ(推定)の担当者が弊社の報告書サンプルを見ながら「よくこんなことわかりますね」と言ってくださるが、なんのことはない、あなた方の面接シートに私は同じ感想を持ちましたよ、と心の中でつぶやく。
きっとこの異質な雰囲気の人事部の方々から今後学ぶことは多いだろうと感じた打ち合わせであった。
創業昭和45年~企業専門の人事調査会社・株式会社企業サービス