採用面接について~相手の惹きつけと見極めの両立~
面接とは相手を魅力付けすること―――
今の時代、そう言われる事が多い。
人手不足で、内定を出しても他社に取られ、選べる立場ではなくなった企業は、ここぞと思う人にはあの手この手で我が社を選んでもらおうとする。
そのため面接は「見極め」の時間ではなく「惹きつけ」の時間となる。
我々調査会社は、バックグラウンドチェック依頼として回ってくる履歴書を見ながら、
なぜこの人は前職をわずか数ヶ月で辞めたんだろう、とか
順調な出世コースなのになぜこのタイミング転職活動?とか
色々と疑問を持つ。
そのため「なんか聞いてない?」と営業担当に調査員は聞いてくるが、営業が依頼主に確認をすると大半の答えは「聞いてません。」―――
いやいや、こんな短期間で辞めてて疑問に思わないの?
この履歴書でそこを聞かずして面接で何を聞いていていたんだ?
と思うことがしばしば。
採用したいからあんまり突っ込んで確認しないんじゃないの?
そこは重視してないということでは?
という意見を何度も聞きながらもこれまでイマイチ腑に落ちないでいた。
しかし先日、1日3件は面接をこなす企業の担当者が「面接は自社の魅力付けをする時間なんです」と言われて、ああ、そういうことか!とやっと気づいた。
オーディションを受けているのは応募者ではなく企業側。だから企業は自分がどんな会社であるか?を一生懸命に語る。そこで応募者が食いついてきたところを一緒に盛り上げて、過去の経験や共感する部分や、不安なことなどを聞いていく。そうすると土台のスタートが、履歴書をみて質問をする、というパターンとは全く違ってくるので、履歴書のギモン点など関係なくなってしまうのだ。
一人の面接官は、内定をいかに勝ち取るか?辞退を防ぐか?優秀な中途を獲得できるか?他社より自社を選んでもらえるか?が勝負点となり、それがイコール自分の評価にもなる。
候補者の惹きつけもして、リスクヘッジもして見極めもしろ、というのは、表面上は「ぜひ君のような人に来てほしい」と言いながら裏では「本当のこと言ってんのか?」と疑いながら、相手を説得しろと言っているようなものだ。これは無理ゲーというやつではないか。
だからこそ、バックグラウンドチェックを行う会社が別にあるのだ。
企業の採用担当は惹きつけをする。
弊社はバックグラウンドチェックをする。
それを合わせてみて、結果どうするかを考える。
そうすればやりたいことが空中分解せず、かつリスクヘッジも出来る。
一人の採用担当がスーパーマンになれと無茶を言われることもない。
バックグラウンドチェックを、入社後のトラブルを防ぐ手段や、ハイクラス層の採用の確認として使う認識はあっても、通常の採用フローに入れるまでもない、と思われている企業は未だ多い。しかし現在の候補者VS面接官という双方のみのやり取りだけでミスマッチを減らしたり、お互いにWin-Winの採用活動というのは無理があるのは上記のとおりだ。
ぜひ企業の代表者や役員は、バックグラウンドチェックを導入してみることを検討してみてほしい。