2006年12月22日
戸籍法改正案に思う
■探偵のひとり言■戸籍法の改正を叫ぶ人権団体の真の狙いは、戸籍法廃止にあると思われる。
理由は、戸籍が旧身分制度のもとで作られた経緯にあり、現在戸籍にその名残は全く無いが、 戸籍は身分差別と密接なつながりがあるとの考え方が根拠にあると思われる。
その考えに一定の理解はできるが、戸籍は我が国において人の身分(階級的身分ではない)を公証する唯一の資料であり、 これを廃止すれば社会の秩序は保てなくなる。
従って、戸籍制度が身分制度と根っこを同じくしているとして問題視するのであれば、新たな制度(戸籍に代わるもの)を作っても構わない。
私が主張したいのは、人の身分を公証する資料は公開でなければならないと言うことであって、生死・親子・兄弟・結婚・離婚くらいは、 その気になれば誰でもが判るシステムにしておかなければ社会の安全や秩序の維持が保てないと思うからである。
次期国会で政府が戸籍法の一部改正を行おうとしている理由の一つに、
「戸籍の中には、摘出でない子や離婚歴など他人に知られたくないと思う事項が含まれている。 従ってプライバシー保護の観点から公開制限を加える必要がある」と述べている。
最もな考え方のように思われるが果たしてそれでいいのだろうか。所謂、プライバシーの考え方を前面に出し、 知られたくないと思う事項は全て隠すことが可能な社会を形成しようと考えているとしたら、これは大変な間違いである。あえて言うなら、 犯罪を助長し擁護するシステムを作る為の改正とさえ言える。
美しい日本、平和な社会とは、 人が人を信用することができ安心して暮らせる社会の事である。
ところが個人情報を完全に保護すると顔の見えない匿名社会となり、 人と人との信頼関係は築けなくなる。
行き過ぎたプライバシーの保護はプライバシーの侵害につながり、過度の人権擁護は人権侵害につながる。
今回の戸籍法改正の大きな目的は、交付請求の制限である。
現行、 「何人も理由を明らかにして戸籍の交付請求をすることが出来る」となっているのを、 「自己の権利若しくは権限を行使するために必要がある場合は、戸籍謄本等の交付請求をすることができると」 改正しようとしている。
一見、第三者でも権利、権限の行使に際しては戸籍入手が可能であるかのように読み取れるが、これは言葉のまやかしであって、 一般の第三者は絶対に入手することは不可能になる。
所謂、交付請求はできるが交付はされないということです。
この事はよくよく考えなければならない。現行法では「何人も理由を明らかにすれば戸籍の交付請求はできる」となっているにも関わらず、 一般的には交付されない。それを今回は法律で、「権利権限の行使に限り交付請求が出来る」と改め、 有資格者以外は全てシャットアウトしようとしており、有資格者でも詳細な理由を示さないと容易には交付しないようにしようとする改正であり、 「自己の権利若しくは権限を行使する必要があるときは、第三者でも交付請求はできる」として、 公開原則は貫いているかのように欺瞞しているもので、改正されたら市町村長は絶対に第三者請求には応じなくなることは明白である。
結婚や商取引など相手が如何なる人なのか知りたいケースは社会生活を営む以上は頻繁に生じるが、戸籍や住民票(新聞報道によると、 住民票も今以上に交付請求に制限を加え、事実上第三者は取れなくする改正案を次期国会に提出) が取れないとなると本当の事は何一つ判らなくなる。
名前も生年月日も親子関係もすべて確認の使用がない。
ただ、相手がいう事を信じるしか方法が無いことになる。結婚を前提に交際していて、アレッと思うような事があっても、彼、 彼女が既婚者なのか離婚暦があるのか、子供が居るのか居ないのか、だだ相手が言う事を信じるしかない。このようなケースだと法律でいう 「自己の権利・権限」があるように思われるが、役所の窓口で、その事をどうして証明するのですか?。 二人でホテルに入る所の写真でも示すのですか・・、それとも何処かで婚約証明書でも書いてもらうのですか・・、公証人役場などで・・。 そう言えばこの前、某賢人がこんな事をお話なさっておられた、「既婚者でも婚約して悪いことはない」、尤もな話である。 離婚して結婚する約束をするのであれば何も問題はない。ところが現実はそんなに甘くなく、既婚者であることなどおくびにも出さず、 結婚を匂わせ彼女を口説くなどごくごく当たり前に行われている。
人の氏名、年齢、住所など住民票の記載事項にプライバシーが存在するのか・・?。
意見は分かれているが、氏名、年齢、住所などは単なる個人識別情報であってプライバシーとは何ら関係ないというのも有力な説である。
戸籍の記載事項には、その他親子関係、結婚・離婚などがあり、より多くの個人情報が記されており、 住民票より扱いが慎重になるのは一定理解できるが、 社会の安全や秩序維持の為にはある一定の個人情報が公開される必要があるのも自明の理である。
個人の利益よりも公共の福祉が優先されるように、個人情報保護よりも社会の安全や秩序の維持が優先され、 そのため一定の情報を公開にする事は止むを得ないことである。ところが、今の日本は、個人の利益や権利が何にも優先し、 人権やプライバシーが余りに優先されるが故に、社会の中に大きな歪ができ、親子の関係さえおかしくなってきている。
投稿者 ks110 : 18:36 | コメント (0) | トラックバック
2006年12月01日
探偵業法セミナー
■探偵のひとり言■先週23日、勤労感謝の日にも関わらず東京で開かれた「探偵業新法の特別セミナー」に参加してきた。先週のブログに記載した通り、 このセミナーは「探偵業新法」成立の立役者である衆議院議員葉梨康弘先生が、業法の解説書「探偵業法」(立法までの物語と逐条解説、 立花書房)の出版を記念し開催されしたもので、4時間半の長時間に亙るものであった。
開催に際し事前に業界団体への参加要請もあり、参加状況が気がかりであったが開演10分前には会場はほぼ満杯、 多分400名を超えていたのでは・・と思われる盛況であった。それだけ業界人にとって大きな関心事であったと言うことでしょう。
講演内容は、法案の作成に直接携わった(議員立法)先生の話だけに、 非常に判りやすくしかも要点をキッチリと捉えた内容の濃いものであり、4時間半の講演が正直アッという間の短さに感じられるものであった。
但し、法律そのものは、消費者保護(依頼者保護)と被調査人の保護を目的としたもので、業の育成は全く眼中に無く、 業界にとっては相当厳しい内容のものとなっている。しかも、この法律は議員立法によるもので、与野党全会一致でなければ可決・成立は難しく、 その為に、内閣委員会の議事録などに目を通すと、法案提出議員が如何に妥協に妥協を重ね、 全会一致での成立に努力し我慢をしたのかが読み取れるものである。
仄聞するところによると民主党は、人権の視点不足を指摘し、当初この法案には難色を示していたやに聞くが、イザ蓋を開けてみると、 法案提出者に民主党議員が名を連ね、委員会では、 野党であるはずの民主党議員の質問に民主党議員が答えるという前代未聞の審議をごく短時間の間に行い、 人権や表現の自由など憲法問題に関わるような極めて大切な問題を完全な出来レースで片付けている。正直、アッと驚くような応答を、 何処まで判っているのか疑問に思える民主党の若手議員が行っている。「こんなやりかたで国の法律ともあろうものがつくられていいのか・・!」 と叫びたくなるようなやり方である。
結果、業界には規制と義務のみを課し、育成の視点は微塵もなく、依頼者と被調査人の保護のみをうたい、業者は公安委員会(警察) の監視下の基で、個人情報保護に最大の配慮をしながら、 あらゆる法律に抵触しない公明正大な調査方法で依頼者の求める情報を入手し報告しなさい、そうでなければ法で罰しますよ、という事である。 所謂、探偵社取締り法である。
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2006年10月11日
再チャレンジ社会と調査業
■探偵のひとり言■先般、所属するNPO法人全国調査業協会連合会から会報の原稿依頼があった。 戸籍や業法問題など投稿したい問題は色々有るが、やはり旬の題材に勝るものはなかろうと考え、安倍首相の 「再チャレンジ社会構築」の政策に調査業が如何に関わって行くか・・、そんな事を書いてみた。 また手抜きと叱られそうだが、今週はその原稿を添付する事にする。
「再チャレンジ社会と調査」 松谷 廣信
この度、内閣総理大臣に就任した安倍首相は「再チャレンジできる社会づくり」を政策の柱の一つに掲げ、 失業したり、事業に失敗したり、夢破れても何度でも挑戦できる仕組みや支援策を構築し、 「格差が固定化しないような社会」をつくるとしている。
可也漠然とした政策であり、これから徐々にその具体策が示されるものと思われるが、うたい文句としては、 国民の多くが望むであろう耳障りの良いものであり、大いに進めて頂きたいものと思う。
ただ、私はこの言葉を耳にした途端、「ワッ、これでまた調査業は叩かれるな!」と感じた。 日陰者の僻み根性がそう感じさせたのかも知れないが、調査業を否定的にみる頭でっかちの人権論者などが 「人事調査などは、失敗者の再チャレンジを妨げる最たるものだ・・、」と、今以上に、人権、 プライバシー、個人情報などを錦の御旗に掲げ、声高々と叫ぶ姿が目に浮かんできたのである。
そこで、真の調査とは如何なるものか。「再チャレンジできる社会づくり」と 「調査業」は決して相反するものではなく、寧ろ、切っても切れない密接な関係にあり、 共に手を携えて進まなければならないものである事を、限られた紙面ではあるが検証してみたいと思う。
第一に言えることは、調査は弱者を切り捨てるために行うものではなく、 調査は事実を知るために行うものである。人が人を信用するため、企業が企業を信用するため、 人が会社を信用するため、会社が人を信用するため、あらゆる相互間の信用・信頼を築く為の裏づけ、基礎資料を提供するのが調査である。 結果だけで人を判断するのはある意味簡単であるが人は決して結果だけで判断されるようなものではない。 破産者を破産と云う結果だけで判断するのではなく、破産に至る経緯や原因、 破産後の対応や態度など総合的な調査をして始めてその人の真の姿が見えてくるのであり、 「再チャレンジが出来る社会」は「調査の必要性」 を認める社会でなければならない。個人情報やプライバシーの名のもとに、調査を否定し、表面的な結果だけで人を判断するような社会こそ、 「再チャレンジを妨げる社会」ではなかろうか・・。
調査業務の大半は、人の生命、財産、安全を護るという崇高な使命を負っており、何が事実か、 何が本当かを調べ、事実に基づいた正しい判断をする為の基礎資料を提供するものである。ある意味、 人生の節目ふしめに於いてなくては成らない必要不可欠なものであると言える。ところが、何時の頃からか、 「調査は差別につながるおそれがあるから・・」との考え方から、調査=差別ととらえられるようになり、「身許調査おことわり運動」 に行政までが関与するに至った。そして、昨年の個人情報保護法施行後は、「個人の調査は保護法に触れるのでは・・」 などとのたまう人が出てくるまでに至っている。何時、何処で、どんな力が働いてこんなことに成ったのか分らないが、 思考する事を停止させられたマニュアル化人間と事なかれ主義の行政が、声の大きな一部の人に洗脳された結果ではなかろうか。大阪市の 「飛鳥会事件」などその最たるものといえる。今こそ我々調査業者は、自らの仕事に誇りを持ち、 調べることの大切さを世に問い、「再チャレンジできる社会づくり」に「調査業の必要性」 を訴えて行かなければならないと考えている。
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2006年08月29日
パブリックコメント(戸籍法の見直し案に関する要綱中間試案)
■探偵のひとり言■先週一週間は、法務省が発表した「戸籍法の見直し案に関する要綱中間試案」 に対するパブリックコメントの呼びかけとその対策に追われた。前半は、関西総合調査業協会、 後半はNPO全国調査業協会連合会の理事会で東京出張とあわただしい週であったが、何れの理事会でも「今回の戸籍法の見直しは、 業界は勿論一国民としても許しがたい暴挙」との私の主張が受け入れられ、それぞれの立場でパブリックコメントを出すこととなった。
以下は、関西総合調査業協会会長として出したコメントである。戸籍の扱いに関しては、 長年の憤懣があるだけについついくどく長くなってしまい、読むのも嫌になると思いますが一様添付します。 睡眠剤代わりに暇に任せお読み頂ければ幸いです。
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法務省民事局民事第一課 御中
「戸籍法見直しに関する要綱中間試案」に対する意見
要旨
「戸籍法見直しに関する要綱中間試案」は、戸籍の公開原則に厳しい制限を加え、事実上非公開にしようとする旨と、戸籍の届け出受理に際し、届出人の本人確認を厳正に行い、虚偽記載を未然に防止する為の改正となっているが、この二つは根本的に異なる問題である為、公開制限と虚偽記載防止の二つ問題について個々に意見を述べることとする。
・「公開制限」に関する試案に対しては、全面的に反対である。
・ 「虚偽記載防止」に関しては、本人確認を含め極めて厳正に行うべきであり、賛同する。
戸籍の公開原則に関しては、試案の補足説明にもあるように、戸籍は唯一親族的身分関係を公証するものであり、それ故に、過去幾多の戸籍に関する課題が提議されたにも関わらず堅持されてきたものである。ところが今回の見直し案は交付請求(1)アで「自己の権利若しくは権限を行使するために必要である」場合には、謄抄本等の交付請求ができる、とはしているものの、試案の補足説明及び戸籍法部会の審議内容、叉、現行法での市町村長の対応からして、交付請求の(1)アの前段部分に関しては国民をごまかすための欺瞞的条文でしかなく、現場(市町村長の対応)を知らない見直し案としか思えない。
今回の戸籍法見直し案は、「はじめに結論ありき」で、戸籍法部会の審議は、交付請求を如何に制限するか、請求者の本人確認を如何に行うかなど技術的論議に多くの時間を費やし、戸籍の公開原則が明治以来今日まで何故堅持されて来たか、安全な社会形成に如何に寄与してきたか、非公開にすると国民生活に如何なる弊害を及ぼすか、など真に精査、議論しなければならない基本的重要事項が殆ど審議されていないように思う。少なくとも審議会の諸先生方が不当な圧力に屈しているとは思はないが、何故「はじめに結論ありき」的審議に終始しているのか理解し難いところである。戸籍法の見直しは、国民一人ひとりに関係する重大な問題であり、1年2ヶ月で試案を出すのは性急に過ぎ、僅か10回の戸籍法部会で十分な審議が尽くされたとは思えないし、見直し案要因の一つである、不正入手問題の一方の当事者である調査業界のヒアリングも行っていない。
もっともっと時間をかけて議論を深め、国民的コンセンサスを得て頂きたいことをお願いし、以下に、公開制限を今以上に厳しくする事による社会的弊害と調査業界の諸問題を列記し、参考に供されんことを願うものである。
戸籍の謄抄本交付請求に厳しい制限を加える見直し案に関する、意見と危惧される社会的影響について
1.今回の戸籍法見直し案発端の背景とその欺瞞
交付制限に関する問題は、昭和51年の戸籍法改正理由と今回の改正理由は根本的には同じと考えられ、共に「戸籍の差別的取扱いに関する是正」と思われるが、その社会的背景は大きく異なっている。
昭和51年改正時は、戸籍が部落差別を意図した不正な手段に使われ、大きな社会問題になっていた事は事実であり、社会的背景からして公開を一部制限する必要に迫られていたことは理解できたが、その時の法改正で、除籍に関しては原則非公開とされ閲覧制度も廃止された。その事によって、戸籍をさかのぼって原籍地を割り出すなどの差別的取扱いはできなくなった。また、現戸籍に関しても、第三者請求は理由を明らかにしなければならなくなっており、不当な目的による入手は困難となっている。
以上、法改正の根本的理由は同じと思われるがその社会的背景は大きく異なっている、にも関わらず、未だに戸籍が差別に利用されているかの如く大騒ぎし法改正を叫んでいる、声の大きな少数意見を取り上げ、寡黙な大多数の意見を慮ることなく、見直し案のみ先行し、戸籍公開の功罪を論議することなく、公開制限の技術的論議に終始しているように思えてならない。
公開制限を強く要望している関係各界の真の目的は、差別解消とは別の意図的なものがあるのではと邪推したくなる。
1.個人情報保護と戸籍公開に関する問題
補足説明によると、戸籍の記載には、例えば、「嫡出でない子であることや、離婚暦など、その本人にとってみれば他人に知られたくないと思われる事項も含まれている」とし、また昭和51年の一部改正から30年近くを経過し、「自分の情報を他人に知られたくないという国民の意識はますます高まっている」とし、個人情報保護の問題等から交付請求をより厳しくする大きな理由の一つとしている。
誰しも「自分の戸籍が他人に見られる」(戸籍の公開)という事に関しては、多少の抵抗はあると思われる。しかし、「抵抗がある」とか「プライバシーの自己コントロール権」などを全面に押し出し法改正を行うとすると、世界に誇ってきた日本の安全などは一挙に吹き飛んでしまうのではないか。
少なくとも身分関係に関しては、第三者でもその気になれば判るシステムにしておかなければ、意図的な身分詐称が横行することは火を見るより明らかである。
戸籍の公開原則と個人情報保護はある意味相反する問題ではあるが、偽りの少ない安全な社会を維持するためには、ある一定の個人情報やプライバシーが制限されることは止むをえないことであり、これは比較考量の問題と考えられる。
国民の多くが、自己の利害関係者(婚約者、恋人、取引相手、貸借関係者、契約者等々)が真に誰であるのか判る安全を担保できる社会を望むのか、他人に知られたくないと思うことは身分に関するような基本的事項でも全て自己コントロールできる社会を望むのか、真に国民の多くがこの問題に気づけば、前者の安全を担保できる社会を望む者が遥かに多いと考えられるが、こうした問題を国民に問うてから試案を出しても遅くはないと思う。
日本が世界に誇って来た「安全社会」の背景に、親族的身分を公証する「戸籍の公開」が大きく寄与していた事は論を待つまでもない。ただ、安全社会の中にゆったりと浸ってきた国民の多くはこの事に気づかず、個人情報の保護など口当たりの良い目先のことに重きをおいているように思えてならない。
1.戸籍の不正請求に関する問題について
調査業者が有資格者を通じて不正に戸籍を入手していた問題が大きくマスコミに取り上げられ、その問題が今回の交付請求制限の動きに大きく起因したものであるが、マスコミ報道によると、あたかも調査業者の不正入手の裏には差別問題が潜んでいるかの如く報じられ、戸籍入手=差別ととらえられている節があるが、調査業界からみると全く穿った見方であると言わざるを得ない。
調査業界は従来から、部落差別は「しない」「受けない」「やらせない」運動を展開し、過去の反省に立ち、部落差別解消の為に積極的な取り組みを行っている。しかし、差別等とは全く別の次元で、戸籍を必要とする事案は数多くある。
調査業者は、国民からの依頼に基づき安心や安全、利益や財産の保護など権利擁護の為にあらゆる調査を受件しており、利害関係者の代理人的立場で動くことが大半である。その為、被調査人の身分確認の為に戸籍を必要とするケースは日常茶飯事にあるが、現行の戸籍法では「何人も理由を明らかにして交付請求ができる」となっているにも関わらず、行政窓口(市町村長)の多くは、調査会社の交付請求には絶対に応じない。其れが為、有資格者を迂回して入手(不正入手)したものである。決して業界団体はそれを認めている訳ではないが、迂回入手を絶対悪として処分したこともない。
調査業者は、依頼者の安全と権利を護るため、ひいては犯罪の未然防止のため、止むに止まれず迂回し入手したというのが実情である。それを前述のように戸籍入手=差別と意図的に誤解してとらえ、法改正の大きな理由の一つとしているが、この改正理由そのものに疑問があると言わざるを得ない。
1.交付請求(1)アの「自己の権利若しくは権限を行使するために必要があること」に関して。
交付請求(1)アが第三者請求の場合は、請求理由の権利関係を示すそめい資料の添付を要求されると思わるが、結婚問題や貸借問題など調査業界が扱うケースは、その事が起こる前、所謂事件事故を未然に防ぐ為に、相手の親族的身分関係を知ろうとするのであって、現実問題としては、その理由をそめいする様な資料は無いのが普通である。結婚してから相手の身分関係が分ったのでは遅く、金銭などの貸借契約書を結んでから騙されたと気づいたのでは後の祭りでしかない。
現行法でも、そめい資料を市町村の窓口は執拗に要求するが、与信の為の事前調査には、そめい資料など添付のしようが無いのが現実である。
現行法においても、この現実をご理解頂き、形式的手続きに固着することなく、本当に国民が自己の生命や財産を護るために必要な時に、必要なものが請求できるシステムを確立して頂きたい。
1.補足説明によると、「公開制度を厳格なものに改めるべきであるという要望が関係各界から強まっている」とし、ことを改正理由のひとつとしている。
関係各界とはいかなるところをさしているのか・・?。
私どもの知る限りでは「戸籍が取れなくて困っている。何とかならないでしょうか、との相談はよく受けるが、戸籍を取られて困った」云々の話は聞いたことがない。
一般的には戸籍を取られて不都合に思うのは、身分詐称などして相手を誑かしている詐欺師的な輩が大半であり、そうした人に取って戸籍公開の制限はこの上ない幸いであろうと思われる。
1.補足説明によると、「公開制限を厳正にしておかないと妄りに他人の戸籍を入手し云々」とある問題について。
興味本位で他人の戸籍を入手できないようにするシステムの一環として、第三者の戸籍交付請求は、戸籍に記載されているものの請求と料金を別にし、1通1万円など相当高額にすることにより興味本位の戸籍請求などは防げるのでは。
「戸籍、住民票での確認を必要とする最近の具体的調査事例」
(不動産関係)
・調査依頼内容
金銭消費貸借に伴い自宅の土地建物に抵当権が設定されている。ところが実際には7年前に借入は返済し貸借関係は終了しているが、 抵当権の抹消手続きを怠っていた。この度、あることで抵当権を抹消する必要に迫られ、抵当権者に連絡をとろうとしたが、 登記簿に記載されている住所は既に転居していた。従って、近隣者に聞きまわったが誰も転居先は知らないとのこと。
そこで、抵当権者の現住所を割り出して欲しい、との依頼。
・調査結果
抵当権者は既に他界していたが妻子の現住所の割り出すことができた。このケースで、戸籍、住民票が原則非公開になると、司法書士等の有資格者に頼むしかないが、現住所割り出しは司法書士等の本来の業務ではないし、また、有資格者でなければこの種の仕事が出来ないというのもおかしな話である。
不動産の売買に関して、土地建物の所有者割り出しに関する依頼は多くある。上記に似たケースで、所有権者が登記上の住所地を転居しているケースが多くあるためであるが、住民票が原則非公開になると不動産取引にも多分の影響が出てくるのでは。
(婚姻関係)
・調査依頼内容
息子が結婚を前提に付き合っている女性が居るが、気の小さい息子は相手の言いなりの様で、借金までして相手に貢いでいる。息子の話によると「お互いに結婚の意志は確認し合っている」とのこと。ところが、息子に彼女を一度連れてくるように言っているが、彼女は何かと理由をつけて会おうとしないとのこと。
「親の感ですが、何となく息子が騙されているような気がしてならないので、事前に彼女のことが知りたい、」との調査依頼。
・調査結果
彼女は既婚者で子供も2人居る事が住民票及び戸籍を確認することにより判明した。
調査結果の詳細は省略するが、過去にも同様の手口で男に金を貢がせていた人で、結婚詐欺師に近い女性であることが判明した。
・調査依頼内容
娘が結婚を前提に付き合っている男性がいるが、娘より10歳も年上でしかも経歴がハッキリしない。 娘は、「優しく良い人で決して嘘をいうような人ではない」とすっかり信用しているが、 親の目から見るとどうも心配な点があるので調べて欲しい、との依頼。
・調査結果
男性は住民票を置いている住所地には実際には住んでいなく、別の所で女性と同棲生活(男がころがりこんだ形)をしている事が判明。
尚、戸籍によると被調査人は離婚歴が2回あり、 子供も4人居ることが判明。 何れも子供は別れた妻が引き取っているが、男性には養育費の支払い義務があり、 現状からすると結婚などとても考えられるような状況になく、依頼者の娘は完全に騙され遊ばれていることが判明した。
※こうした調査依頼及び同様の調査結果はごく普通にあり、決して珍しいケースではない。
(夫婦関係)
・調査依頼内容
夫が妻の素行調査を依頼。
原因は、突然妻が離婚して欲しいと言い出した。理由を聞くと、あれが嫌これが嫌と並べたてるがどうも腑に落ちない。男が居るのではと問い詰めても「決してそんな事はない」の一点張りとのこと。
・調査結果
尾行調査により男がいることが判明。相手の男性を調べた結果、埼玉在住で妻と3人の子供が居る男性であることが判明した。
後々で判った事であるが、「妻と男性はインターネットで知り合い、メル友が嵩じて男女関係にまで発展したが、男は独身を装い遊び感覚で付き合ったものである。ところが妻は離婚さえできれば男と結婚できるものと思い込み(口では男性も結婚をにおわせていた様子)、離婚を迫ったもの。
実はこの男性は単身赴任で大阪にきており、独身で通用する生活状況の中にあった。ところが、男性の住民票と戸籍を調べることにより上記事実が判明したもの。詳細は省くが戸籍住民票なしでは男性の素性は分からなかったと思料されるケースであった。
※同様のケースで、単身赴任の男性が独身を装い23歳の女性に子供までつくらせたケースがあるが、 女の方は子供まで出来たのだから当然結婚できるものと考えていた。ところが子供が出来たことを知った男性は、 中絶を勧めたが聞き入れてもらえない為、突然雲隠れした。
調査の結果、九州にいる事が判明し、住民票及び戸籍の入手により、妻子の居る男性であることが判明した。男性を問い詰め、子供を認知させることは出来たが、極めて無責任な話である。
(男女関係)
・調査依頼内容
某男性と半年程前に知り合い恋仲になった。彼は医師免許を持っているというが一寸ひかかるところがある。大学は大阪大学と聞いている。
本当に大阪大学卒で医師免許を持っているかどうか調べて欲しい。
・調査結果
調査の結果、姓は正しいが名が一字違い、大阪大学卒でもなければ医師免許も持っていないことが判明。
こうしたケースは戸籍、住民票に基づかないと調査結果が曖昧になることがある。戸籍、住民票で正確に確認することにより、騙されていることが発覚し、被害が少なくて済んだ。
・調査依頼内容
結婚を前提に付き合っている彼女がいる。彼女の話では現在28歳で結婚暦はなく、 勤めている会社は某株式会社とのこと。ところが時々オヤと思うことがある。本人が話していることが本当かどうか知りたい。
・調査結果
住民票や戸籍を入手することにより以下の内容が判明し、信用し難い女性であることが判った。
年齢は31歳で過去2回結婚暦あり、 勤め先は話の通りであるが会社の職種は違い、非常に不安定な内容の会社であった。
(商取引関係)
・調査依頼内容
母親が娘の事を心配しての相談。
娘は美容師で現在独立を考えている。ところが娘に独立開業を進めている自称、理美容の経営コンサルタントという人がどうもおかしいので、娘に何度も注意し説得しているが娘は信じ込んでおり、私が何を言ってもダメ。
実は、このコンサルタントにあることから娘に内緒で600万円貸したが、 返済の意思を示すだけで実際は約束の十分の一も返してくれない・・・。
・調査結果
娘を客観的に説得できる内容の調査結果がでた為、調査結果に基づき母親と一緒に娘を説得し、未然に詐欺的被害を防止することができた。
取材による結果もあるが、娘が騙されていると確信するに至ったのは、住民票や戸籍事項からハッキリと証明できる虚偽が数々あったため。
・調査依頼内容
当社とアメリカのオイルメジャーとの間で、オイルの輸入販売に関わる合弁会社をつくる話が進んでおり、既にその為に資本金2千万円の株式会社を設立したが、 その話のエイジェントである人物の素性がよく判らない。
可なりの有力者であると思われる力を実際に見せ付けられており、副社長がプロジェクトリーダーとなり半年前から着々と準備は進め、 2ケ月先には帝国ホテルでパーテイも予定している。
しかし、どうにも気になる・・・。
・調査結果
そのエイジェントなる人物は希代の詐欺師と呼ばれた前科5犯の大物詐欺師であることが判明。
過去には芸能人、世界的ピアニスト、大学教授、代議士まで相当の人が騙され、マスコミを賑わしたこともある詐欺師であった。
これは、多方面に亙る取材から住民票の登録住所が判明し、住民票、戸籍を入手できた事から、根からの詐欺師である事が判明し、年商50億円の企業を救う事が出来たが、調査をしていなければ数億の金を騙し取られて多分倒産の憂目をみたと思われる。
※商取引に関しては、住民票及び戸籍の入手により詐欺被害を未然に防止できた事例は枚挙に暇が無いくらいある。
(雇用関係)
採用調査関係では、個人情報保護法施行に伴う弊害のほうが多いが、年齢詐称、現住所詐称も時々見受けられる。
職歴詐称は求職者の30%強を占めるほどに、極普通に行われている。しかし、今年4月の個人情報保護法完全施行に伴い、官公庁や企業の多くが、求職者の職歴確認に応じなくなっている。また、学校も同様で卒業確認も出来なくなっている。結果、履歴は幾ら詐称しても簡単には分からなくなっている。
その為、東京大学や京都大学の卒業者数がここ2?3年で倍増するのではないかと危惧されている。
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2006年08月08日
檄文 、戸籍法見直し
■探偵のひとり言■数少ないこのブログ愛読者諸君に告ぐ・・!、願わくば以下のパブリックコメントに応じんことを・・!!。我が日本国、 日本民族ひいては日本文化を護らんがため。
去る7月25日、法務省は「戸籍法の見直しに関する中間試案」をまとめ発表、同時にこの試案を、 7月25日?8月28日まで約1ヶ月間のパブリックコメント(search.e-gov.go.jp/servlet/Public) にかけている。
| 2006年7月25日 | 300080001 | 戸籍法の見直しに関する要綱中間試案に対する意見の募集 |
2006年8月28日 | 法務省民事局民事第一課 電話:03?3580?4111(内2447) |
任意の意見募集 |
先ずは中間試案を読んで頂きたい。ところが、とんでも長い。しかも、一般の人が読むと「なるほど・・」 と思うであろうことがこまごまと書かれており、文章の長さとくどさにあきれて読むのが嫌になり、結果コメントするのを諦める様になっている。 だが、この見直し案だけは諦めないで欲しい。
見直し案を要約すると、明治31年の戸籍法創設以来、「戸籍公開の原則」が取り入れられ、 以後何回と無く戸籍法は改正されてきたが公開原則は守られてきた(現戸籍は公開、除籍は非公開)。ところが、昨今の個人情報保護の流れ、 及び、戸籍の不正入手事件が発生するに及んだことから、戸籍の公開制度を厳格なものに改めるべきであるという要望が関係各界から強まり、 公開制度の在り方を見直す必要がある。としている。
誰しも自分の戸籍が全くの第三者に見られるという事は、何となく嫌だな・・・と思うのではないか。そこで、 戸籍を第三者が勝手にとることは出来ないようにしよう、というのである。理由は、個人情報の保護と不正入手防止の為。
なるほど、それは良い事だ・・・と、単純に考えればそう思う。
ところがドッコイ・・。そんな単純な問題ではない。
法務省が今まで戸籍公開の原則を頑なに守ってきたのは何故か?。それは、人の身分を公証する唯一のものであるが為で、 これを公開しておかないと社会秩序の維持に支障をきたすおそれがあるからである。
ところが個人情報保護の流れと関係各界の要望に押し切られ、改正しようと考えたとのことである。特に、戸籍には親子関係 (嫡出でない子)や結婚暦(離婚暦)など、本人にとって他人に知られたくないと思う事項も含まれているが故とのこと。
しかし、社会生活を営む上で、親子関係や結婚・離婚暦くらいは、その気になって調べれば判るシステムにしておかないと、 とんでもない社会になる。個人主義の横行で、隣は何をする人ぞ・・的世の中になっているが、この法改正が行われると、 過去何回結婚離婚を繰り返していようと、小泉某が小泉総理は私の伯父さんだ親戚だといっても、其れを確認するすべがなくなる。結果、 うそのつき放題が通用する世の中になるのです。
今一つ、不正入手事件が跡をたたない、その防止の為に有資格者(弁護士や司法書士など8業種)であっても、 簡単には戸籍を取れないように規制しようという改正案である。
確かに不正入手はいけない。だから不正入手が出来ないようにする。もともな話である。しかし、皆さんご存知の通り、現行法では 「何人も理由を明らかにすれば、第三者の戸籍でも請求できる」となっているが、実際、市町村長の窓口は有資格者以外には戸籍を出さない。 そこで、どうしても戸籍事項を知る必要(結婚の有無や親子関係など・・・)がある場合、多くの調査会社(興信所、探偵社)は、 有資格者にお願いして戸籍事項を調べていた。これを、関係各界は不正入手と一言でかたづけ、興信所、 探偵社がいかにもあくどいことをしているやに宣伝し、行政を動かし法改正までしようとしている。
調査会社(興信所、探偵社)が戸籍を必要とするのは、利害関係者からの依頼によって行い、しかも、 戸籍事項を調べないと真実を知ることが出来ないが為で、正当な請求理由はあるが市町村長が法律をねじまげて解釈し、 請求に応じないがための止む無き行為である。それを、不正入手の一言でかたづけている。
「泥棒にも三分の利」とは違う。確かに、取れないから迂回して取る、というのが通用するとは思わないし、 何が悪いと開き直るつもりもないが、無茶苦茶な屁理屈と圧力に屈して、金(補助金)をばら撒いてきた行政機関よりは、 真剣に人権や差別問題に取り組んでいるつもりだ・・・。
戸籍入手=差別、ととらえる人が多いと思うが、この構図は、 運動の為の宣伝に使われてきたが為であって、実際は非常に大きな問題を控え正当な理由があっての戸籍入手が殆どである。
投稿者 ks110 : 11:43 | コメント (0) | トラックバック
2006年07月20日
詐欺師と個人情報
■探偵のひとり言■調査業に従事していると必ず出会うのが詐欺師である。それも一度や二度ではない・・。 中でも多いのが結婚詐欺と取込詐欺。しかも、結婚詐欺に関しては、 騙されていたのか振られたのか、そこの境目が良く判らない。別れた後、冷静になってよくよく考えて、「どうも騙されていたのでは・・」 なんて思うケースは殆ど間違いなく騙されている。かと云って、相手が詐欺師とは限らない、騙し=詐欺ではない。
詐欺とは、最初から騙そうとして騙し、財物的利益を得る事をいう。人間はある意味非常に厄介で難解な動物であり、 最初は騙すつもりなど無かったのに結果騙していたなどと云う事はしょっちゅうある。 夫婦の間などでは愛するが故に騙す等という事もあるらしい(知人曰く・・)。しかし、こうしたケースは詐欺とは云わない。
ところが、調査で出会う詐欺はそんな甘いものではない。1・2年かけて舞台作りをし、 綿密な計画のもとに実行に移す。しかも、「あの人がまさか・・・」と思う程に信頼関係を築いてからやるから性質が悪い。 大半の場合当人は気づかない。周辺者のアドバイスで念の為にと調査をしてみたら、結果とんでもない詐欺師であった等というのが大半である。
それも、その行為そのものが詐欺と証明できる事は調査会社の調査では中々難しい。詐欺を立証するには、公権力を持って徹底した調査・ 捜査をしない限り中々判るものではない。
ところが、調査によって相手(被調査人)が詐欺師であるか否かは意外に判る。何故なら、 詐欺師の特徴は、その場その場の言動は非常に誠実で身近な出来事は正直に話し、そこまで自分のことをさらけ出すか・・ と相手が恐縮するくらいに、正直にしかも律儀に対応する。ところが自分の経歴や親兄弟などに関わる事は正直には話さない (話したくても話せない)。そこで、経歴や身許を華麗に作為するか、某人物への成済ましを行う。
従って、調査会社の調査はそこに視点を向ける。結果、身許に関するあらゆることが出鱈目となれば、 大方は詐欺と判断して間違い無い。
これは企業の取込詐欺などでも同様で、会社経歴や代表者の個人経歴などを詳細に調べる事によって判明する。
ところが、最近の人権やプライバシー偏重の流れから、この手の調査も非常に難しくなっている。 世の中怖いものなしで人権が大手を振っているが、真の人権とは何なのかをもっともっと真剣に論議しなければ・・・と思う。 少なくとも今の人権の流れは、人も文化も駄目にしてしまいかねない。
昨日の新聞報道によると、戸籍法改正を議論していた 「法制審議会戸籍法部会」が中間試案をまとめ、次期通常国会に改正法案を提出する方針という。所謂、 戸籍の公開原則を非公開原則に改悪する法案の提出である。 昨年4月に施行された個人情報保護法施行に伴う社会生活上の弊害がマスコミを賑わしており、 早くも法改正が叫ばれている昨今にも関わらず、そんな事は全く意に介さず、 人権至上主義と個人情報保護の流れに乗って一挙に遣ってしまおうとしている。
正直、今の人権の流れに逆らうのは非常に難しい。政治家も企業人も有識者ともてはやされる先生方も、 誰一人人権には正面から物を言おうとしない。特に関西はその傾向が強い。人権団体が強すぎるが故に人権が語れないのでは・・・等と、 つい皮肉のひとつも云いたくなってしまう。
ただ、戸籍法改正問題は、パブリックコメント(意見公募)を経て、となっている。業界関係者は勿論、一人でも多くの方が、 近く行うであろう政府のパブリックコメントに応募して貰いたいと思う。
投稿者 ks110 : 16:22 | コメント (0) | トラックバック
2006年06月27日
東京人気質と大阪人気質
■探偵のひとり言■先週金曜日、関西総合調査業協会の総会が無事終了した。ホッとひと安心。 特に揉めることなくなくスムーズな議事進行であったが、6月8日に公布された「探偵業の業務の適正化に関する法律」 が出席会員の最大の関心事であり、国会での審議内容を含め色んな意見が出された。
一寸その事に関連するが、先程昼飯を食べに出た。向かった先は徒歩2分程の所に在る蕎麦屋「なにわ翁」。 小生元々そば好きという事もあるが、ここのざる蕎麦は何とも美味しい。 週に一度は食べないと気がすまないと云う感じでここ2年くらいあしげく通っている。
そこで注文の品が来るまでの数分間、店に置いてある月刊誌「大阪人」に目を通していたら、 最近強烈に感じている事がズバリ書かれていた。
所謂、東京人、京都人、大阪人の気質の違いについてである。「なにわのことは夢のまた夢」と題したエッセイに、江戸時代、 幕府からおふれがでると、江戸の庶民は「まあー、しかたないか」としぶしぶ承諾する。京都の庶民は「そんなん、 かんけいあらへん」と無視してしまう。ところが大阪の庶民は「そりゃあ、殺生でっせ」と反発する。その証拠に、江戸時代、 大阪の歴代町奉行77人中、9人が免職となったが、江戸の町奉行は89人中、4人、京都は86人中、4人であったという。 如何に大阪は処しにくかったかと云う内容の事が書かれていた(メモをした訳ではないのであくまで記憶の範中)。
この1年、個人情報保護法、探偵業法、戸籍住民票問題と業界に取って過って経験したことのない重大問題が山積し、 関西総合調査業協会では皆が喧々諤々として如何に意見をぶつけていくかと議論し行動もしているが、これが東京では可也ニュアンスが違う。 同じように問題意識は持っているが何処となく、「お上のいう事には・・・」的な感覚が強く感じられ、意見が噛み合わないことが多くあった。
どちらが正しいとかでは無くて、文化の違いと云うか、気質の違いと云うか、どうもそんな事かも知れない。
投稿者 ks110 : 13:51 | コメント (0) | トラックバック
2006年06月15日
探偵業法成立
■探偵のひとり言■「探偵業の業務の適正化に関する法律案」(探偵業法案)が5月19日(金)衆議院内閣委員会を全会一致で通過し、 6月1日(木)に参議院内閣委員会で同じく全会一致で通過した。
業法制定は業界人多くの悲願であり、消費者保護を大前提とした業法ではあるが大変な朗報である。この事を機に、 業界が少しでも健全化の道を歩み、社会的地位の向上に繋がることに期待したいと思う。
ただ、衆参両内閣委員会での議事録を手にして正直驚いた。法案成立の為の妥協と駆け引き、その為の見事なまでの出来レース、 恐れ入りましたとしかしか言いようが無い。しかし、恐れ入ってばかりではおれない内容が一部含まれている。 殆ど審議らしい審議もなされないまま、業の生死に関わるような大きな問題が、質疑・応答の出来レースの中でサラッと流されている。 長年日陰の身におかれたものの僻み根性による取り越し苦労でなければ良いがと願うのみである。
投稿者 ks110 : 18:27 | コメント (0) | トラックバック
2006年05月30日
戸籍法改正(法制審議会戸籍法部会)への意見書、NO2
■探偵のひとり言■先週5月25日、「探偵業の業務の適正化に関する法律案」(探偵業法案) が衆議院で可決されたとの朗報が入った。運用面では色んな問題が出てくるように思うが法制化は業界人の悲願であっただけに、 先ずは皆で喜びたいと思う。
先々週のブログで戸籍法改正問題についての法制審議会戸籍法部会に提出した意見書的なものの一部を掲載したが、今日はその続き、 「戸籍が原則非公開になると具体的にこんな問題はどうするのだ・・・」と云うことから、最近取り扱った調査事例を列記して送付したので、 それを掲載することにする。
戸籍、住民票での確認を必要とする最近の具体的調査事例
不動産関係
・調査依頼内容
金銭消費貸借に伴い自宅の土地建物に抵当権が設定されている。ところが実際には7年前に借入は返済し貸借関係は終了しているが、
抵当権の抹消手続きを怠っていた。この度、あることで抵当権を抹消する必要に迫られ、抵当権者に連絡をとろうとしたが、
登記簿に記載されている住所から既に転居していた。従って、近隣者に聞きまわったが誰も転居先は知らないとのこと。
そこで、抵当権者の現住所を割り出して欲しい、との依頼。
(調査結果)
抵当権者は既に他界していたが該当不動産の相続権者である妻と子供3人の現住所を割り出すことができた。
結果、依頼者は相続権者に事情を説明し、無事抵当権を抹消することができた。
※、こうした事はごく普通にあるが、戸籍、住民票が原則非公開になると相続権者の住所割り出しは非常に難しくなる。
また、不動産の売買に関し、土地建物の所有者割り出しに関する依頼は多くある。しかも、
所有権者が登記上の住所地を転居しているケースや既に他界しているケースは多々あるが戸籍・
住民票が原則非公開になると不動産取引にも大きな影響が出てくることが懸念される。
・調査依頼内容
取引先の倒産に伴い5千万円が焦げ付いた。取引開始から半年しか経ってなく、前後の状況からして取り込み詐欺の疑いもある。
そこで、代表者の資産背景を調査して欲しいとの依頼。
(調査結果)
非調査人の現住所は大阪の賃貸マンションで見るべき資産は無かったが、山梨の本籍及びその付近に相当な不動産の所有が判明し、
法的に差し押さえることができた。
※ 住民票・戸籍が非公開になると、この手の調査は不可能に近くなると同時に取込詐欺や債権の踏み倒しは、
非公開を機に倍増することが懸念される。
商取引関係
・調査依頼内容
当社とアメリカの某企業との間で、○○の輸入販売に関わる合弁会社をつくる話が進んでおり、
既にその為に資本金2千万円の株式会社を設立したが、その話のエイジェントである人物の素性がよく判らない。
可なりの有力者であると思われる力を実際に見せ付けられており、副社長がプロジェクトリーダーとなり半年前から着々と準備は進め、
2ケ月先には帝国ホテルでパーテイも予定している。しかし、どうにも気になるとの事でメインバンクを介して依頼があった。
(調査結果)
そのエイジェントなる人物は希代の詐欺師と呼ばれた大物詐欺師であることが判明。過去には芸能人、世界的ピアニスト、
大学教授から政治家まで相当の人が騙され、マスコミを賑わしたこともある詐欺師であった。
※ これは、多方面に亙る取材から住民票の登録住所が判明し、住民票を入手できた事から、前住所及び本籍地で過去の犯罪歴が判明し、
根からの詐欺師である事が判ったものである。結果、年商50億円の企業を救う事が出来たが、戸籍・
住民票が非公開となれば数億の金を騙し取られて倒産の憂目をみたと思われる程の内容であった。
・調査依頼内容
知人の紹介で設立間もない会社から数千万円単位の商談が持ち込まれた。先方の社長曰く、
「自分は○○家の一族で近く相当の遺産が入るので、決して支払いでご迷惑をかけるような事はしないが、会社を始めたばかりで信用がない。
売り先も確実な目途があるから、何とか商品を納入して欲しい・・」とのこと。
間違いない人のように思うが本当に○○家の一族なのか調べて欲しい、との依頼。
(調査結果)
○○家の一族に同姓同名の人はいるが、その人はサラリーマンで商売などはしていない。但し、地元を離れて長く、
親族でも詳しくは知らない状況にあることから名前を使われることになったようである。
装い詐欺であったが、事前調査で未然に被害を防止することができた。
・調査依頼内容
母親が娘の事を心配しての相談。
娘は○○師で現在独立を考えている。ところが娘に独立開業を進めている自称、○○の経営コンサルタントという人がどうもおかしいので、
娘に何度も注意し説得しているが娘は信じ込んでおり、私が何を言ってもダメ。
実は、このコンサルタントにあることから娘に内緒で数百万円貸したが、返済の意思を示すだけで実際は約束の十分の一も返してくれない・・・。
(調査結果)
娘を客観的に説得できる内容の調査結果がでた為、調査結果に基づき母親と一緒に娘を説得し、未然に詐欺的被害を防止することができた。
取材による結果もあるが、娘が騙されていると確信するに至ったのは、住民票や戸籍事項からハッキリと証明できる虚偽が数々あったため。
※ 商取引に関しては、住民票及び戸籍の入手により詐欺被害を未然に防止できた調査事例は枚挙に暇が無いくらいある。
婚姻関係
・調査依頼内容
息子が結婚を前提に付き合っている女性が居るが、気の小さい息子は相手の言いなりの様で、借金までして相手に貢いでいる。
息子の話によると「お互いに結婚の意志は確認しあっている」とのこと。ところが、息子に彼女を一度連れてくるように言っているが、
彼女は何かと理由をつけて会おうとしない様子・・。住所も○○町としか知らず番地までは判らない。
「親の感ですが、何となく息子が騙されているような気がしてならないので、事前に彼女のことが知りたい、」との依頼。
(調査結果)
尾行調査で居所をつきとめ、住民票を確認することにより、彼女は既婚者で子供も2人居ることが判明した。詳細は省略するが、
過去にも同様の手口で男に金を貢がせていた人で、結婚詐欺師に近い女性であることが判明した。
・調査依頼内容
娘が結婚を前提に付き合っている男性がいるが、娘より10歳も年上でしかも経歴がハッキリしない。娘は、
「優しく良い人で決して嘘をいうような人ではない」とすっかり信用しているが、親の目から見るとどうも心配な点があるので調べて欲しい、
との依頼。
(調査結果)
男性は住民票を置いている住所地には実際には住んでいなく、別の所で女性と同棲生活(男がころがりこんだ形)をしている事が判明。尚、
戸籍によると被調査人は離婚歴が2回あり、子供も4人居ることが判明。何れも子供は別れた妻が引き取っているが、
男性には養育費の支払い義務があり、現状からすると結婚などとても考えられるような状況になく、
依頼者の娘は完全に騙されていることが判明した。
※ こうした調査依頼及び同様の調査結果はごく普通にあり、決して珍しいケースではない。
・調査依頼内容
事業を子供に譲った父親(70歳)が、介護関係の仕事をしている40代の女性に3千万円以上もつぎ込んでいて再婚したいと言い出した。
ところが不審に思えることが多々あるので、事前に調べて欲しいとの依頼。
(調査結果)
彼女は独身を装い安アパートを借りていたが、実際は別に戸建て住宅を持ち、そこに夫と子供2人が居ることが判明した。尚、
夫は無職で外車を乗り回し、毎日パチンコ三昧の生活をしていることが判明。
※ 結果が出た為それ以上の調査はしなかったが、この女性は過去にも同様の手口で老人に金を貢がせていたものと容易に推察される。
このケースは彼女を雇用している会社にも使用者責任が生じると思われるが、住民票や戸籍の入手なくしては容易に見抜けないものと思われる。
夫婦関係
・調査依頼内容
夫が妻の素行調査を依頼。
原因は、突然妻が離婚して欲しいと言い出した。理由を聞くと、あれが悪いこれが嫌と並べたてるがどうも腑に落ちない。
男が居るのではと問い詰めても「決してそんな事はない」の一点張りとのこと。
(調査結果)
尾行調査により男がいることが判明。相手の男性を調べた結果、名古屋在住で妻と3人の子供が居る男であることが判明した。
後々で判った事であるが、「妻と男性はインターネットで知り合い、メル友が嵩じて男女関係にまで発展したが、
男は独身を装い遊び感覚で付き合ったものである。ところが妻は離婚さえできれば男と結婚できるものと思い込み
(口では男性も結婚をにおわせていた様子)、離婚を迫ったもの。
相手の男は単身赴任で大阪にきており、独身で通用する生活状況の中にあった。ところが、
男性の住民票と戸籍を調べることにより上記事実が判明したもの。
詳細は省くが戸籍住民票なしでは男性の素性は分からなかったと思料されるケースであった。
※ 同様のケースで、単身赴任の男性が独身を装い23歳の女性に子供までつくらせたケースがあるが、
女の方は子供まで出来たのだから当然結婚できるものと考えていた。ところが子供が出来たことを知った男性は、
中絶を勧めたが聞き入れてもらえない為、突然雲隠れした。
調査の結果、九州にいる事が判明し、住民票及び戸籍の入手により、妻子の居る男性であることが判明した。男性を問い詰め、
子供を認知させることは出来たが、極めて無責任な話である。
男女関係
・調査依頼内容
某男性と半年程前に知り合い恋仲になった。彼は医師免許を持っているというが一寸ひかかるところがある。大学は大阪大学と聞いている。
本当に大阪大学卒で医師免許を持っているかどうか調べて欲しい。
(調査結果)
調査の結果、姓は正しいが名が一字違い、大阪大学卒でもなければ医師免許も持っていないことが判明。
※こうしたケースは戸籍、住民票に基づかないと調査結果が曖昧になることがある。戸籍、住民票で正確に確認することにより、
騙されていることが発覚し、被害が少なくて済んだ。
・調査依頼内容
結婚を前提に付き合っている彼女がいる。彼女の話では現在28歳で結婚歴はなく、勤めている会社は○○株式会社とのこと。
ところが時々オヤと思うことがある。本人が話していることが本当かどうか知りたい。
(調査結果)
被調査人は31歳で過去2回結婚歴あり、勤め先は話の通りであるが会社の職種は違い、非常に不安定な内容の会社であった。
※ 住民票及び戸籍によって上記事実の裏づけが取れたが、そうでない限りこうした人は嘘をつき通すことが多い。
雇用関係
採用調査関係では、個人情報保護法施行に伴う弊害のほうが多いが、
年齢詐称、現住所詐称も時々見受けられる。
職歴詐称は求職者の30%強を占めるほどに、極普通に行われている。しかし、今年4月の個人情報保護法施行に伴い、
官公庁や企業の多くが求職者の職歴確認に応じなくなっている。また、学校も同様で卒業確認も出来なくなっている。
結果、履歴は幾ら詐称しても簡単には分からなくなっており、履歴書を如何に誤魔化して書くかが採否の大きな分かれ道になっている。
その為、東京大学や京都大学の卒業者数がここ2?3年で倍増するのではないかと危惧される状況にある。
※、「差別につながる怖れがあるから・・」との理由から、人に関するあらゆる調査を規制しようとする動きがあり、
その一環で戸籍・住民票を非公開に、と考えられているようですが、何々につながる怖れということで、本来の目的を度外視した規制は、
恐 怖政治の始まりにつながりかねない。
包丁が殺人に使われたからと言って、包丁の使用を禁止するようなことだけは避けて欲しいものです。
投稿者 ks110 : 12:35 | コメント (0) | トラックバック
2006年05月17日
戸籍法改正(法制審議会戸籍法部会)への意見書
■探偵のひとり言■法務大臣の諮問に応じて民事、刑事、 その他法務に関する基本的事項を調査審議する機関として、法制審議会というのがある。所謂、 国の法律を改正するなどの際に、事前に学識経験者に専門的立場で審議して貰い、その答申を得て、国会に法案を提出する準備をする。 その審議会に昨年11月、戸籍法の改正が諮問され、戸籍の公開原則を見直す作業が着々と準備されている。
その審議内容は議事録を見る事によって詳細に判るが、 何とも学者先生の審議は判ったようで分からない。はじめに結論ありきで、 結論に結びつける為の理屈づけを難しく論議しているようにしか思えない様なところがある。
今回の、 戸籍法改正問題を審議している戸籍法部会においても、その例に漏れずと云った感じである。そこで、 昨日審議会の各先生方に意見書的なものを文章にして送付した。結果は一笑にふされるだけの事と思うが、業界人としては勿論、 一国民としてどうにも看過できない問題と思うからである。
以下、長々となるがその意見書的なものをここに添付してみたいと思う。
現行の戸籍、住民票の原則公開が原則非公開に改正された場合に想定される弊害について。
戸籍、住民票が原則非公開となると、氏名、年齢、住所、婚姻関係、親子関係など人の身分を公証する資料は、本人が提供しない限り、 一般的には見る事も手にすることも出来なくなるということである。結果、幾ら身分を偽っても、それを見抜くことが非常に難しくなる。 公開が原則となっている現在は、少なくとも氏名、年齢、住所、婚姻関係、親子関係などの事項は、一般的に判るという背景があるが故に、 身分関係に関する虚偽の抑止に繋がっていたと思われる。
ところが原則非公開となれば、幾ら出鱈目を言っても、それを確認する手段がないため、 平気で嘘が言えるようになりはしないか。所謂、何時でも何処でも他人に成りすましたり、透明人間(架空の人間) になることが可能になるのでは・・。
結果、身分詐称によるあらゆる詐欺や契約違反、契約不履行などが横行し、人が人を信用できなくなり、 極めてギクシャクとした社会が形成され、「訴訟を起こさない限り相手の身分も判らない」と言ったことになる (提訴することによって始めて相手の住民票や戸籍を正当に入手する事ができる)。
簡単な商取引でも一寸した契約事でも、全て契約書にして印鑑証明や住民票等を添付するシステムにしないと、 真に相手が誰であるかも判らない。今までは、何時でも確認できる背景があるが故に口約束でもある程度信用でき、 その上に立っての口頭契約も可能であった。ところが身分確認ができないとなると、事前に身分を公証する資料を基にしない限り、 大きなリスクを背負うことになる。
行政手続等で住民票や戸籍など身分を公証する資料無くしては業務遂行は不可能ではなかろうか。故に、法改正で原則非公開となっても、 行政機関は特例で入手可能にするでしょう。
行政はともかく民間レベルで、その都度相手に住民票や戸籍など身分を証明する資料の添付を要求するとなると、 車のハンドルに遊びがないような極めてギスギスとした社会になってしまう恐れがありはしないか。
本年4月の個人情報保護法完全施行以来如何なる現象が起きているか・・。新聞紙上でも「個人情報過保護法では・・」などと指摘され、 匿名社会、透明人間社会を危惧する記事が多く見られるが、実際にはマスコミ報道にはみられない多種多様な弊害が数多く生じている。
その一例であるが、官公庁は勿論民間企業の多くが人に関する問い合わせには、理由の如何を問わず応じなくなっている。 結果、就職の際の履歴確認も全く出来なくなっている。履歴書に「○○大学卒業、○○会社勤務、○○会社勤務」とあり、職務経歴書には 「○○企業で売上げナンバー1を達成」などと申告されているが、その申告事項を確認することが出来ない。
職務経歴の内容は未だしも、勤務期間も応えなければ在職の有無さえ個人情報保護を理由に応じなくなっている。その上、 住民票も戸籍も原則非公開となれば、それこそ何も判らないことになるのでは。
企業が求職者の履歴確認ができないとなれば、応募者は履歴の書き放題である。実際の履歴よりも、 履歴書をどう書くかによって採否が左右されるような事が、笑い話でなく、実際に起こりうることになる。現行でも、 中途採用時における応募者の履歴はかなり詐称されている。採用調査を主に行っている調査会社の統計によると、30% 強に職歴詐称が認められる。学歴詐称は現在学校側が第三者からの卒業確認に応じないため、 曖昧ではあるが詐称と思われるケースも数多く見受けられる。尚、 職務経歴書にいたっては正確に申告しているほうが少ないと言える状況にあります。
米国においてはネグリジェレント・ハイヤリングなる考え方によって、入社前に求職者の履歴確認を如何に行ったかによって、
従業員が起こした事件の使用者責任の度合いが大きく左右されることになっている。従って、採用マネージャーの仕事として、
求職者の履歴確認は、必要最小限のこととして義務づけられている。
従って、先日京都で起きた塾講師による児童殺害事件などは、塾側の使用者責任が大きく問題視され、
採用前の人事調査がどこまで実施されていたか否かが大きな問題となる。特に、今回の事件は、採用前調査が正確に行われていれば、
事件を未然に防止出来た可能性が大きいだけに、特にこの点を指摘しておきたい。
但し、従来からの厚生労働省の指導及び個人情報保護法の施行に伴い、今の日本では、就職の際の履歴確認は出来なくなりつつあるし、
「人事調査はしてはいけない」との指導を行政機関(厚生労働省)が中心になって行っている。また、
プライバシーの自己コントロール権なるものが印籠のごとく使われだしており、個人情報保護が行き過ぎて、
社会生活や経済活動を萎縮させてしまうことが懸念されるに至っている。
就職の際の履歴云々は単なる一例であって、結婚や商取引など社会生活を営む上において、
相手の確認が個人情報やプライバシーを理由に取れないような事になれば大変なことである。にも関わらず、
本年4月の個人情報保護法施行以来徐々にそうした社会になりつつある。その上、戸籍、住民票が原則非公開という事になれば、
社会の諸制度や円滑な社会生活が阻害される怖れが非常に高いものと思料される。
プライバシーや個人情報は、公共の福祉や利益との関係で、如何に調和を考えるかが非常に重要な問題だと思われる。
一方的にプライバシーや個人情報の保護を主張すれば、共生、協調、
協働と言った円満な社会生活を営む上で大きく摩擦を生じるのは当然のことで、比較考量の問題が重要になってくるものと思われる。
ただ、住民票に記載されている氏名、生年月日、住所、本籍、性別などは単なる個人を識別する情報であって、
その中にプライバシーがあるとは考えられない。無論センシテイブな情報などは全く含まれていない。
それ故に従来から一貫して公開の原則を貫いてきたものと思う。
以上の文に、戸籍・住民票を入手することにより詐欺的被害から事前に免れた調査事例を列記して送付させてもらった。但し、
事例集は長くなるので次のブログに添付することにする。
投稿者 ks110 : 16:13 | コメント (0) | トラックバック
2006年03月02日
個人情報保護法
■探偵のひとり言■昨年4月、個人情報保護法全面施行当初から法の解釈や取組み、また、その有り方などに疑問を呈して来たが、 実際に多方面で色んな問題が生じており、各種報道機関も「匿名社会」の到来を危惧し、 「安心社会の崩壊背景」(読売新聞)と題しての討論なども報じられている。そんな中で、 東京弁護士会が法施行1年を控え、「これでいいのか個人情報保護?、法施行1年・ 匿名社会の今」と題し、3月22日に霞ヶ関の弁護士会館でシンポジウムを開く。その為に、 個人情報保護に対する意見や体験談の募集を始め、メールで受付をしている。
そこで、わが意を得たりと、調査業者からみた意見と体験談をしたため東京弁護士会へメールすることとした。
個人情報保護法施行後の状況
昨年4月の個人情報保護法施行以後、国民の多くが個人情報とプライバシーを混同、個人情報は全てプライバシーと考え、 あらゆる個人情報に自己コントロール権があると解釈し、本人の承諾無くしては個人のことは公開できない、と考えているようである。また、 個人情報保護という新たな考え方に馴染みが薄い日本人(企業)は、事なかれ主義に徹し、共同社会の仕組みなど全く度外視して、 「個人情報は出さなければ問題視されることは無い」と短絡的に考え、それに徹している。その為にどんな弊害が起きようが、 そんなことはお構いなし。ただただ自分の所(個人、企業)が問題にならなければそれで良し、との利己主義に徹しているようである。
このままで今の個人情報保護の考え方が一人歩きし始めると、日本のよき伝統は崩壊し、人情味溢れるムラ社会は保てず、 共同社会はギクシャクとした住みにくいものとなり、個人主義の横行に伴い、悪いやつほどよく眠る犯罪社会の到来が多いに予見される。
調査業者としての体験談
私の会社は、企業が行う中途採用時の人事調査(採用調査、雇用調査)を主に行っているが、 個人情報保護法全面施行に伴い企業や官公庁の大半は、応募者が提出した履歴書の確認に応じなくなっている。理由は、 「保護法施行に伴い個人の事は一切お応え出来ません」というものである。学校関係も同様で、卒業確認に応じてもらえない。
元々就職の際の履歴書詐称は非常に多く、弊社で行う採用調査の約30%に経歴の違いが確認されるが、 今の状況からするとその確認が殆ど取れなくなる可能性が非常に高い。結果、履歴書は書き放題という事になり、 履歴書を如何に作って書くかが採否の分かれ道になる状況下にある。
先般行った採用調査ですが、被調査人は45歳の男性。大学卒業後、転職回数3回で昨年12月に大手建設会社を退職し、 求職活動をしているという人であった。ところが前職(勤続3年)、前々職(勤続15年)ともに個人情報を理由に職歴確認に応じない、 そこで仕方なく、居住地周辺での取材を試しみたところ、「以前は某スーパーに勤務していた・・」との情報が得られた。 履歴に疑問をもった調査員は、その情報に基づきスーパーに工作をかけたところ、「内に5年ほど居た人」との確認が得られた。何故、 職歴を詐称したのか疑問を持ち、調査を進めたところ、職場で300万円強の横領を働き半年前に解雇されていた事実が判明した。
正直、こんなケースは日常茶飯事にあるが、厚生労働省などは個人情報云々以前に、採用時の調査は「差別につながる恐れがあるから」 との理由で、調査そのものを行わないよう行政指導している。
昨年4月の個人情報保護法施行以来、官公庁は退職者の職歴確認には全く応じない。役所によっては現職の人が、 実際に勤めているかどうかさえ応じない。これは民間企業にも言えることだが。尚、学歴確認は全校ほぼダメ。
それに輪をかけて、法務省や総務省は、身分を公証する唯一の証明書たる戸籍や住民票を原則公開から非公開に法改正しようとしている。これも、 個人情報保護の流れから来ているようであるが、身分を公証するものを非公開としてしまえば、 何時でも何処でも他人になりすますことが出来ることになる。先ず間違いなく、 こんな法改正を行えば詐欺は現状の2倍3倍に膨らむことでしょう。
そこでお尋ねしますが、就職の際の履歴書や、契約ごとでの申告内容、結婚の際の履歴申告(釣書などを含む)などは、相手に提出した時点で、 確認されることには「黙示の同意」がある、 と解釈するのですが如何でしょうか・・?
何れにしても、個人情報は全て本人の承諾無くしては出せない、話せない、取れない、等とされたら大変なことです。
投稿者 ks110 : 14:03 | コメント (0) | トラックバック
2005年12月19日
三つの言葉「人権、プライバシー、個人情報」
■探偵のひとり言■今月の文芸春秋で、新年特別企画、各界リーダー32人が選ぶ時代を読み解くキーワード、「三つの言葉」 というのがある。堺屋太一は「まやかし、あほらし、あらまほし」と並べ、現在は、言葉と行動、建前と実態、 看板と中味の異なる世の中だ、と強烈に批判している。堀江もんは、「世界平和、肉体と精神の分離、宇宙」と、中曽根康弘は「改革万能膏、 同情大臣劇場、ナショナリズム感冒」、前原誠司は「ボランテイア気質、改革競争、戦争責任の風化」などとある。
ところが、文芸春秋の記者が何を度忘れしたのか、私には原稿依頼が無かった。40年間、 1度も欠かす事無く文春を愛読している私にである。
そこで、仕方なく、愛妻と子供と社員しか読者のいない、このブログに自分なりの「3つの言葉」 を書くことにした。「人権、プライバシー、個人情報」、今の私の頭の中は、 これ以外の言葉は浮かんでこない。「21世紀は人権の世紀」、 と行政や人権団体が21世紀に入ると同時に大々的に歌い上げ、人権立国を目指した。そして、人事調査は人権侵害、差別につながる云々と。 結果、最大の人権である「人の命」が奪われた。塾講師の殺人事件を教訓に、マスコミ報道によると、教育界では、 「人間性重視の視点で採用を考えて行きたい」との方針が打ち出されているようである。大変結構なことである、と思うと同時に、 何を今更という気持ちもある。ただ、人間性重視は結構だが、人間性を観る方法である。面接や試験で真の人間性が判るのであれば、 それは良いが実際は可也難しい。私は、人間性というものは、その人の仕事や日常生活など、日頃の言動に現れるものと考えており、 職歴や日頃の生活態度を調査する事によって判明するものと思っている。
個人情報保護もプライバシー保護も結構だが、真の人権を護るには、今の個人情報やプライバシーの一般的な考え方には相当な矛盾がある。 「個人情報」「プライバシー」などは比較考量の問題が大きく、一概に言えるもので無いだけに非常に難しいと思うが、真の人権を護る上で、 もっともっと論議を深める必要があるように思う。
投稿者 ks110 : 16:44 | コメント (0) | トラックバック
2005年10月04日
個人情報過保護法
■探偵のひとり言■私は調査業の立場から、何回もこのブログで個人情報保護法施工に伴う問題点を指摘してきたが、 昨日の読売新聞にも行政の個人情報保護法に対する過剰反応が問題視され、 救急時の対応やその為の情報交換にまで大きな支障を来たす結果になっている事が指摘されていた。
また、マスコミ報道によると、今国会で戸籍住民票の閲覧及び取得に関する諸問題が討議されるようであるが、 このままの流れからいくと多分に第三者的立場の人は、本人の承諾(委任状)無くしては、 他人の住民票や戸籍は見る事も取ることも出来なくなるよう、法的に規制される可能性が非常に高い。既に行政の窓口では10数年前より閲覧、 取得共に厳しく規制されており、公開の原則は既に有名無実化しているものの、これがキッチリ法的に規定されるとなると話は別である。所謂、 本人の承諾無くしては何人も戸籍や住民票を見る事も取ることも出来ないとなると、いったいどんな社会になるのだろう。大体、 戸籍や住民票は何の為にあるのか、何の為に必要なのか、官が民を監視する為にだけあるのか、決してそんなものではない。 自分が自分であることを証明する唯一の公的証明書では無かろうか。それ故に法的に公開の原則を貫いてきたのではないのか・・。ある意味、 最低限自分の事(住所、氏名、年齢、家族構成)が公的機関で公開されている事によって、 知らず知らずの間に自己規制ができ社会規範が保たれて来たのではなかろうか。
そのたがをはずそうとするのが今回の法改正である。個人情報保護の印籠のもとに、 本人の承諾無くしては名前も住所も年齢も知ることが出来なくなる。これを逆手に取るとそれこそ嘘のつき放題、詐欺のし放題、学歴は書き放題、 職歴は言い放題、年齢のごまかしなどお茶の子さいさい、結婚離婚を何回繰り返しても常に初婚でOK、既婚者も彼女彼氏の前では常に独身。 そして、調査会社が調査をして、「被調査人は独身ではなく何年何月にだれそれと結婚して子供2人をもうけ、某所でこんな生活をしています」 と報告したとする。すると、被調査人は「私の個人情報をどこでどうして入手したのか公開しなさい。 私が結婚して子供が居ることを貴方はどうして証明できるのか・・、こんな報告書は出鱈目だ・・」云々と。ところが調査会社は、 「戸籍でこうなっているではないか・・、住民票でこうではないか・・」などと口が裂けても云えない。また、 少し利口な被調査人は自分の本籍地や現住所の役所に自分の住民票、戸籍が何時誰によって取られたか問い合わせをする。 すると役所はすぐに調べて本人に通知する(そうしなければならない)。某司法書士、某弁護士の名前が出て来ると、 その司法書士や弁護士は目的外請求でオジャンである。従って、有資格者も直接の業務以外では依頼しても無理である。結果、 何でもありの社会が確立され、人は人を信用することは出来ず、個人情報やプライバシーの名のもとに詐欺師王国が出来上がるのである。
それは少し飛躍が過ぎるのでは・・と思われる方も多いのではないかと思うが、実際に調査をしている現場から見ると飛躍でも何でもない。 既に、そのような社会になりつつある。既婚の単身赴任者が独身顔で彼女を云々はザラ・・。履歴書の詐称は言うに及ばずである