厚生労働省への上申書(案)について |

調査会社の会長ブログ

厚生労働省への上申書(案)について

2016年08月09日

 私は、何回となくこのブログでも、厚労省の「採用調査に関する行政指導」のあり方に疑問を呈して参りました。また、過去には、大阪府が主催した、「採用調査システム検討会議」にも、業界代表として参加し、自分なりの意見も述べてきました。しかし、厚生労働省とは公の場で意見交換をした事は無く、この問題は、私にとっては30年以上の懸案事項となっています。

 そこで、昨年初旬に意を決し、「厚労省への上申案」を作成し、他の業界団体にも働きかけ、業界の意見を一本化して上申しようと働きかけて参りました。ところが、この業界の特質と云うか、中々意見の一致を見るのは容易でなく、未だ一致団結してと云う段階に至らず、悶々としております。

 個人的には、私どもが行っている現状の採用調査は、厚労省が発行する冊子、「公平な採用選考をめざして」の内容に決して背を向けるものでは無く、寧ろ、公平採用選考をめざすには、採用調査、バックグランド調査(応募者の適性、能力に特化した調査)は必要不可欠なものと信念しています。ただ、厚労省をはじめとする労働行政機関は、現状の採用調査の中身を精査する事無く、旧態依然の採用調査(人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となる事項を含む調査)が継続されているものとして、旧態依然と採用調査の規制を継続している様に思われます。

 従って、全国レベルの開かれた場で、過去に大阪府が開催した様な、「採用調査システム検討会議」なるものが必要では無いかと考えています。ところが、業界関係者の中では色んな意見があり、未だGOの声が聞けていないのが現状です。

 そこで今一度、このブログで「上申書(案)」を公開し、業界関係者は勿論、そうでない一般の方からのご意見も、広くうかがえたらと考えた次第です。どんなことでも結構です、ご意見を頂けたら幸いに存じます。何卒宜しくお願い致します。                    

           

           就職の際の身元調査に関する上申書

(上申事項)

1、厚生労働省及び都道府県の労働行政部局が発行している冊子、「採用と人権」にみられる、「就職の際の身元調査は絶対に行わないでください」との文言の削除をお願いしたい。

 就職の際の身元調査に関する厚生労働省の行政指導は、「差別につながる就職の際の身元調査を行わないように」との指導であり、応募者の職能や適性に関係のない、人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となる事項及び思想、信条等のセンシティブ情報であって、応募者本人の経歴、勤務態度、出勤状況、職務能力、人柄、素行等の職務遂行能力や適性に直接関係する事項までの身元調査を禁じる指導では無いと理解しておりますが、実際には、「就職の際の身元調査は絶対に行わないでください」との指導が行われており、一切の身元調査が禁止されているかの如く、広く解釈されています。

 この点を再検討し、差別を意図した調査を禁止しているのであり、職能や適性に直接関係する身元調査までも禁止しているものではない旨を明確にして頂きたく、お願い申し上げます。

2、就職の際の「身元調査」の語句の定義を明確にして頂きたい。

 身元調査という語句は、使う人、使う状況によって多種多様に解釈されており、門地や出生地など人のルーツを調べる事を身元調査と言い、人となり等の調査は、身上調査と云い、身元調査とは区別し、使い分けをしている人も居ます。また、就職の際の経歴や職能に関する調査は、採用調査、バックグランド調査、人事調査等と称し、一般に使われる身元調査とは区別している人もおり、身元調査の語句は、使い方、受け取り方によって相違しているにも関わらず、厚生労働省は、人に関するあらゆる調査を、「身元調査」とひとくくりにして表現している様に思います。その為、「就職の際の身元調査は絶対に行わないで下さい」との指導は、どの範囲の調査を指しているのか判然とせず、一般的には就職の際の調査が全て禁止されているかの如く広く解釈されています。

3、「就職の際の身元調査」について、私ども業界団体と話し合いの場を設けて頂きたく、お願い申し上げます。

 就職の際の身元調査について話し合い、適正な調査とそうでない差別調査の線引きを行い、厚生労働省がめざしている「公正な採用選考」に向けての一定のコンセンサスを得たいと考えています。

(上申の趣旨と理由)

この度、厚生労働省がご尽力なさっておられる、就職差別解消にむけての公正採用選考に関する行政指導について、ご要望申し上げます。

 厚生労働省が、予てより一貫して就職差別解消に向けご尽力なさっている事については、日頃より当業界団体は勿論、業界人の皆が深く感謝申し上げているところであります。

 私どもは、従来から、あらゆる差別調査の撤廃に向けて鋭意努力し、自主規制団体として自らは勿論、社会に向けても、その意図するところを積極的に働きかけている業界団体であります。

 ただ、過去に私ども調査業界の調査及びその報告が、就職の際の差別に使われたという不幸な事象があったことも事実であり、その点を深く反省すると共に、二度とそのような事案を起こさないことが、業界の社会的責務と心得、差別解消に向けての努力を惜しまず研鑽してまいりました。

 その結果、少なくとも過去15年間は、当業界関係者の調査及びその報告が、就職の際の差別に使われたと云う事実は無く、長年に亘る厚生労働省の行政指導と各種人権団体の活動及び我が業界の自主規制により、少なくとも就職の際の「部落差別事象」は100%解消されたと確信しております。また、そうした意図をもっての調査依頼をする企業も無ければ、そうした調査を受ける調査業者も100%無くなったと確信するに至っております。

 しかし、貴省は、就職の際の「身元調査」を長年に亘り、身元調査は差別につながるおそれがあるとして、一貫して「身元調査は絶対にしないでください」との行政指導を行っており、労働行政機関が発行する冊子、「採用と人権」などには、その趣旨が強調して述べられております。

 ただ、貴省が常套している「身元調査」という語句が、如何なる範囲の調査を指して「身元調査」と定義しているのか判然としないところがあります。一般的には、身元調査という語句は、人に関するあらゆる調査を総称して使われていることが多く、使用する語句の定義が示されていないことから、広く、就職の際のあらゆる調査を禁止しているものと解釈されています。

 貴省が指導する、就職の際の身元調査の規制で、「採用しようとする人の適正、能力とは直接関係のない身元調査」を規制するというのであれば、一定理解はできますが、現実には、私ども調査業界で実施している、就職の際の身元調査は、応募者が申告する、履歴書や職務経歴書の相違点の有無、過去の勤務先での勤怠状況、職務への適性、就業に耐え得る健康状況にあるか否か、就業できる生活環境にあるか否かなど、応募者の適正、能力に直接関係する調査に絞って実施しているものであります。

ところが、実際の行政指導は、就職の際のあらゆる身元調査を禁止するかの如き指導が一貫して行われております。

 その行政指導に基づく弊害が現実には相当起こっております。マスコミ報道などにより広く知られている、殺人容疑者の逃亡、集団登校時の死亡事故、塾講師による生徒殺害事件、入所患者への虐待、爪はがし事件など、就職の際の身元調査を実施していれば、未然に防げたであろうと思われる事件は数多く発生しています。また、マスコミで報道されることは無いが、現実には、応募者の履歴書や職務経歴書の詐称は極ごく一般的にみられ、中途採用時の履歴書には、30%強(調査業界関係者の実際の統計)の詐称がみられます。酷いケースですと、学歴、職歴の全てが詐称されているものもあります。また、申告する現住所に実際には住んで居ないとか、機密情報の入手を目的に応募(産業スパイ行為)するなど、筆記試験や面接では到底見抜くことができない様々な問題が多く発生しております。

 また、厚生労働省は「公平な選考に努めるように」との指導を強く行っておりますが、一方で、就職の際の身元調査を禁止する指導を行っているため、不公平な採用選考を起こす、不幸な結果が生じています。

所謂、正直に書かれた履歴と、詐称された嘘の履歴との区別が出来ず、提出された履歴や職務経歴書を鵜呑みにした選考が行われているのが現実です。現在行われている採用時の身元調査は、あくまでも、採用選考の公平性を確保するための補完資料として利用されているものであり、応募者の適性や能力を判断するための資料でしかありません。

 ところが、公平な採用選考に努めようとしても、公平採用の為の身元調査を禁じているために、公平な採用選考が出来ず、虚偽申告をする要領の良い人が採用され、正直に申告した真正直な人が不採用になると云った、不公平な選考結果をまねいているのも事実であります。

 アメリカでは、ネグリジェントハイアリング(過失雇用)なる考え方に基づき、採用前のバックグラウンドリサーチは、採用マネージャーの第一の仕事と云われるくらいに一般的に実施されており、採用前調査を実施したか否かで、司法判断の際の、使用者責任の度合いが大きく左右されるといわれており、採用前調査(バックグランド調査)は必要不可欠なものとして広く実施されています。

 日本でも、昭和48年に示された司法判断、「三菱樹脂判例」(最高裁)では、採用に係る身元調査は、法的には許されると判示されています。

(三菱樹脂判例の一部)

1. 企業者が、労働者の採否決定にあたり、労働者の思想、信条を調査し、そのためその者からこれに関連する事項についての申告を求めることも、これを法律上禁止された違法行為といえない。

 以上の理由から、厚生労働省が行っている、「就職差別解消」の取り組み、及び、「公平な採用選考」に向けての行政指導のあり方について、再度ご検討頂き、私ども業界団体と話し合いの場を持って頂きたく、お願い申し上げます。

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