人事調査 |

調査会社の会長ブログ

人事調査

2010年11月16日

毎年の事ながら、歳の瀬になると会報の原稿依頼が遣ってくる。そこで、何か面白いことでも思うが、書いてみると結果は毎年同じ。表題は違えど、中身は似たような事になる。それ程、一貫して思い続けていると云う事になるが、ひいては、成果が出てない証しでもなる。それでも、成就するまでは叫ぶことにしよう・・・。

と云う事で、これも何時もの事ながら、会報掲載の原稿を先ずはブログに乗せることにする。

社会、文化の違い

松谷 廣信

 

先般、弊社に以下の「調査の見積り依頼」が送付されて来た。

これは、アメリカの某企業が、日本進出を計画する中で、日本のシンクタンクに以下のデータ調査が可能か否か、可能とすれば費用と調査日数は、と問うてきたものである。

 

米国呼称

日本呼称

内容

公開データ/     非公開データ

入手方法

費用

要日数

Government ID data

住民基本台帳

 

 

 

 

 

Crminal Records

犯歴

 

 

 

 

 

Civil Litigation

民事訴訟記録

 

 

 

 

 

Court Judgement

判決

 

 

 

 

 

Tax Leins

税金納付

 

 

 

 

 

Bankruptcy/

Insolvency Record

破産、債務超過記録

 

 

 

 

 

Directorship and Corporate       Affiliations

役員構成、会社提携状況

 

 

 

 

 

Regulatoey Actions

法令違反の有無

 

 

 

 

 

Property Ownership                  including Residence

会社資産保有状況       (住宅資産含む)

 

 

 

 

 

Consumer Credit Check

クレジットカードチェック

 

 

 

 

 

Media review

メディア調査

 

 

 

 

 

Driving Records

運転違反歴、交通事故等

 

 

 

 

 

Education Verification

学歴確認

 

 

 

 

 

Employment Verification

職歴確認

 

 

 

 

 

 

 

 驚くばかりであるが、弊社として直ぐにお応えできるのはメディア調査と役員構成・会社提携状況の2項目くらい。他にデータとして提供できるものは一項目とて無し。全くなさけない話しであるが、他は不能と答えるしか無かった。

 聞くところによると、上記調査項目はアメリカでは特に難しいものではなく、一定の条件を満たせば、リサーチ会社は普通に入手できる項目らしい。しかも、調査力云々ではなく、データとして入手できるとのこと(州によって若干の相違はあるらしいが)。

 この違いは一対何処からくるのであろう。文化や社会情勢の違いから来るのかもしれないが、余りにも日本の実態とかけ離れており、唖然とするばかりである。

 考えてみるに、米国はある意味訴訟社会化しており、プライバシーや権利意識が非常に強く、権利・義務もハッキリとし、個の意識が高い。それだけに自己責任の意識もキチッとしており、自分が行った事には責任を持つ。故に、上記調査項目は、自分がした結果なのだから、自己責任の範疇と考え、利害関係者にその情報が提供されることは、お互い社会生活を営む以上仕方が無い、反面、自分が入手するのも当たりまえ、そうでなければ商取引など、契約事は何一つ安心して出来ない、と考えられているのでは無かろうか。

 これに比べ、日本は、本人がOKしない限り、何一つ個人の事は知ることが出来ない社会が作られようとしている。相手が提出した氏名、住所、学歴、職歴さえ確認する事は一般的には不可能に成りつつあり、犯歴、納税状況、クレジット情報などはもっての他である。就職応募で、会社に提出された履歴書が正しいか否か、その事を求人企業が調べようとすると、厚生労働省は「差別に繋がる恐れあり」、として、その様なことは適切でない、と行政指導をしている。

ところが、米国は、履歴は勿論、犯歴などもキッチリ調べてから採用しなければならなくなっており、採用前調査を怠ると採用マネージャーの怠慢と取られ、大変なことになる。例えば、過去子供に悪戯をした前歴を持つ人が就職応募してきたとする。ところが、採用マネージャーが調べもせずに採用し、その人が職場で同じ悪戯をしたとすると、会社が全面的に使用者責任を問われ、訴えられる事になる。そのリスクヘッジのために、採用前調査は徹底して行わなければならいのである。

人に関する調査(人事調査)に否定的なのは厚生労働省だけではなく、経済産業省なども同様で、「専ら人の調査」を業としている処は、保証協会の保証対象外職種に指定し、不要業種的な差別的扱いをしている。また、法務省は、戸籍住民票を事実上非公開とし、直接管理する市町村の一部は「本人通知システム」なるノー天気な条例を作り、詐欺師や悪巧みをする人を擁護しようとしている。また、総務省は個人情報保護法の拡大解釈を容認し、個人情報取り扱い業者(大半の企業、団体が対象)は、個人情報は何一つ出さないにこした事はないとして、徹底している。

従って、今の日本社会では、個人に関することは、その当人が話したり申告したりする事を頭から信ずるしかなく、疑いがあっても確かめる事が出来ない社会システムを、行政と人権団体が手を組んで着々と構築しつつある。

非常に恐ろしいことであるが、実はこの事に気付いている人は意外と少ないのでは無かろうか。もしかしたら、戦後アメリカが考えた、日本弱体化政策の一環がボディブローのように功を奏しはじめたと云うことなのかもしれない。そして、今話題の尖閣諸島、竹島、北方領土問題の不甲斐なさも、ひいてはここらに原因があるように思えてならない。こんな事を書き始めると切がないが、少なくとも直接この事を知る立場に有る、我ら業界人が、今のこのノー天気な日本社会に警笛を鳴らす必要があるのでは無かろうか。そして、少なくとも業界団体は、この事で結束し、社会に貢献する責務を課せられているのでは無かろうか。今年は、その思いを形にして行く年にしたいと願っている。

 

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